4月5日(月)放送分

山元町 宮城面友会 沼田松政さん
伊藤若奈ディレクター 取材リポート

山元町の花釜地区にある「宮城面友会」は、日本の伝統芸能の能の仮面を作る教室です。主催するのは能面氏の沼田松政さん84歳。横浜に住んでいた若い時から能面に興味があり、能面の面打ち師範の免状を取得。ご自身の定年退職を機に、山元町に教室を開きました。 
山元町の花釜地区は、東日本大震災で壊滅的な被害を受けました。海からおよそ1キロの場所にあった沼田さんのご自宅、隣接していた教室も流失しまいた。自宅には2メートル20センチの高さの津波が押し寄せ、多くの面や道具がだめになってしまいました。幸いにも柱だけは残っていたため、大工であった一番弟子に自宅を再建してもらったということです。
震災から半年で教室を再開し、再出発を試みます。面を打つことに対して、気持ちが戻ることは大変だったとお話してくださいました。健康に気を付けて、動ける間は能面作りを続けていきたいとのことでした。
また、取材中に、三坂三というお弟子さんも一緒に作業をされていました。三坂さん震災当時、中浜地区に住んでおり、自宅はすべて流されてしまいましたが、大好きな能面作りを現在でも続けていらっしゃいます。今後も亘理の悠里館での展示を励みに、能面を続けていきたいということです。
これらの能面は主に観賞用ですが、ひとつひとつ表情が違い、作り手の気持ちやお人柄がにじみ出ているように見えました。東日本大震災で辛い思いをされてこられたと思いますが、能面作りという打ち込めるものがあり、その思いを和らげたのかなと感じました。じっと見ていると心が落ち着く、そんな能面の不思議な魅力を、今後も伝え続けてほしいと思いました。

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