12月12日(月)放送分

石巻市北上 農事組合法人みのり 千葉昭悦さん
野口美和アナウンサー 取材リポート

石巻市北上の農事組合法人みのりでは、120haの土地で稲作をメインに営む。農業を始めて50年以上の千葉さんは、8年前にオリーブ栽培を始めた。石巻市が津波被害の大きかった土地の活用方法を模索していたところ、塩害に強いオリーブが注目された。当初、千葉さんは見たことも触ったこともないオリーブの栽培に不安だったそう。香川県小豆島の農家の方から指導を受け、現在は4haの畑で1350本管理をしている。
北上地区では、津波で多くの家が流された。千葉さんの家もその1つ。何もなくなってしまった土地でオリーブを育てている。「この地区の顔になってほしい。味良く、見た目もよく、ちゃんと地域に貢献できるように」と千葉さんは語る。収穫後は主にオリーブオイルになる。一般的なオリーブオイルよりも緑色、青りんごのようなフレッシュな味。通常よりも早い段階で収穫することで、搾油できる量は少ないものの、栄養価の高いオリーブオイルができるそうだ。今年は250kgのオリーブを収穫し、13Lのエキストラバージンオリーブオイルができた。販売会でも好評だ。千葉さんは北上地区について「風光明媚で、山あり谷あり…田園風景から海まですべてそろうっていうのはないですから。世界遺産にしてもおかしくないんじゃないか」と話す。

東北大学災害科学国際研究所 所長 今村文彦教授
根本宣彦アナウンサー 取材リポート

地震や津波について研究している東北大学の災害科学国際研究所が設立10周年を迎え、10月に記念式典が開かれた。東日本大震災の翌年の2012年4月に設立され、地震や津波のメカニズム、防災に関する研究を進め、情報発信を行ってきた。所長の今村文彦教授にこの10年についてうかがった。
災害研は2つの目標を掲げている。災害科学の分野を進化させることと、実践的防災学でそれぞれの成果が各地域でつかわれるようにすること。研究所の様々な専門分野の研究者約100人が、東日本大震災の被害把握、巨大地震・津波メカニズムの解明、震災アーカイブの整備、被災地支援の実践、災害医学の構築など、着実に成果をあげてきた。
そして地域との関係を深めるとともに国際的な役割も担ってきた。2015年3月、第3回国連防災世界会議が仙台国際センターを中心に開催された。東北大学災害研は、会議の仙台誘致、開催を全面的に支援した。160か国以上から延べ15万人が参加した。課題は国内での周知だと今村教授は話す。
そして今年4月に「レジリエンス共創センター」が発足。あらゆる災害リスクに対して柔軟に対応しながら早く復旧することを目指す。
今後も災害科学の学術研究を発展させながら、東日本大震災などの被災地の復興とともに国内外での総合的な災害軽減を目指していく。

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