Archive for 2017年4月24日

4月24日(月)放送

石巻市鹿妻 ボランティア学習塾 「スマイルかづま」
林田悟志アナウンサーリポート

石巻市の鹿妻地区にあるボランティア学習塾「スマイルかづま」は、震災で大きく影響を受けた地区です。震災後から地域の再生に時間を要し、子供たちがやむを得ず転居しなければならない状況下で、子供たちの学力低下が心配されていました。そこで立ち上がったのは、鹿妻南第三町内会の会長、西村しげさん(70)です。きょうは小学生学習塾「スマイルかづま」の今をお伝えします。
 西村さんは、震災後にボランティアの皆様にお世話になったことを感謝し、地域に恩返し、貢献したいという思いから塾をはじめます。きっかけは、当時学生の学力低下を救う人、つまり先生になってはどうかと言われたことが始まりです。当初は、東北大学の生徒2人がボランティアとして参加してくれました。
 運営にかかる費用は、西村さんの自腹で行われ、今も生徒から授業料はもらっていません。震災後2012年から6年が経過し、当時1年生だった生徒が今年度6年生になり、週1回(2時間)の授業は、予約を受ける程入塾希望者がいるそうです。 しかし、西村さんは塾を立ち上げた当初に目標を「6年」と決めて運営をしてきました。今年度がその区切りの年度を迎えるため、塾の継続に頭を悩ませています。先生たちの高齢化が大きな要因ですが、その反面やりがいや子どもと過ごす時間が今後なくなり、自分自身が寂しさを捨てられるかどうか疑問だからです。
「どこで区切りをつけるか・・・」。ボランティアではじめた学習塾が地域に根付いたことも嬉しいことではありますが、子供たちから必要とされている「場所」を今後継続していくかどうか、今後先生たちと話し合いをしながら方針を定めていくということです。

山元町の活動拠点「山元ミガキハウス」 豊島常一さん
伊藤晋平アナウンサーリポート

山元町には、たくさんのファンが全国各地に存在しています。この「山元ミガキハウス」は東京の製薬会社に勤める豊島さんが代表で、山元町にある空き家だった「古民家」を改築して利用し、宿泊施設として利用するプロジェクトです。
豊島さんは、山元町の震災後の人口減少を改善し、交流人口を増やしていきたいという思いと、新しい町が生まれ、そこで新たに出会いや交流が生まれてほしいという願いもあります。国が提唱する「副業」を自分自身の人生経験のプラスとしてとらえ活動していくことも考えているようです。
今後、この場所は山元町にボランティアで訪れる人や農業を学びたい、という人たちの拠点として利用し、日本だけでなく世界中から多くの人を迎えていきたいと話す豊島さん。
仕事の合間を縫って、たくさんの人にこの山元町を知ってもらうために活動します。
宿泊施設としては、5月を目指しています。オープンしてからも今後の様子を取材し、伝えていく予定です。

4月17日(月)放送

石巻市 元石巻小学校教頭 斉藤悦美さん
災害時の小学校の防災対応について考える
古野真也アナウンサー取材リポート

 石巻市門脇町にお住いの斉藤悦美さんは、震災時は石巻市立橋浦小学校の教頭先生をされていました。地震発生時は、大きな揺れに、子供達も尋常じゃない雰囲気を感じ取っていたと、思い返します。学校からその日に両親が連れて帰った子供の中には津波で亡くなった生徒もいました。
 地震の後はそのまま橋浦小学校が避難所となり、一時300人を超える人々が学校に避難してきました。学校ではその後すぐ、地区ごとに教室を割り振っての避難生活が始まります。避難所で斉藤先生は、市役所の方々と一緒に食事の管理、運営の補助に当たります。
その中である子供たちの異変に気が付きました。黒板に地震や津波の絵をかいたり、人々が逃げたりする絵をかいて遊んでいたことです。それは、「津波ごっこ」でした。
 当時、その遊びは、居住内で子供や親族をなくされた人もいたため、不謹慎かもしれないと思い、止めるべきか心療内科医に相談します。しかし心療内科の先生は「これは、子供たちにやめさせないでほしい」と言ったそうです。この遊びを通してつらかった思いや自身の中で消化できないことを「あそび」の中でストレスの発散させている、ということでした。やめてしまったら今後に影響を及ぼしてしまう可能性があったのです。異常な状況下での生活、現在振り返ると「あの対応でよかったのか、学校としてできることがなかったのか」今でも自問自答が続いています。
 その後、斉藤さんは教壇に立つにあたり「学校として何ができるかを実行に移すのはとても難しいが、とにかく平常心で、学校は学校という環境を整えることが一番。通常の授業を変わらずに行っていくのが役割である」という思いで生徒と向き合いました。
 震災後は「経験の共有」をもつため生徒たちとたくさんの話をし、お互いの理解を深めることが「心の復興につながる」と分け隔てなく子供たちと接する時間を大切にしたそうです。現在、斉藤先生は退職されていますが震災を直接経験した子供たちの〝心を救う”大切さをひしと感じたようです。

女川町「女川桜守りの会」 藤中郁生さん
林朝子アナウンサー取材リポート

 女川町の津波で失われた桜を復活させようと活動している「女川桜守りの会」を取材しました。現在は地域住民およそ20人が参加し桜の植樹などを続けています。今回は事務局長を務める藤中郁生さんにお話を伺いました。
震災後の2011年4月に、藤中さんは女川町で「桜」を発見しました。震災後に桜の木を見つけるなんて思ってもみませんでしたが、いつかこの桜が町のシンボルになるようにとこの桜を「津波桜」と呼び、保存活動を始めます。これこそが「女川桜守りの会」の活動のはじまりとなります。津波を免れた桜の手入れをしたり、全国各地から提供された桜の苗を女川町の各所に植樹したりして活動しています。
 藤中さんはここ女川町では、町中に桜が咲いていたため、「花見」をしたことがない、する必要がなかったと振り返ります。その桜がある街の風景を復活させようと、震災前にあった当たり前の風景を取り戻そうと藤中さんはメンバーと一緒に今も尽力されています。津波桜は、枯れた桜もありましたがその「存在」を残そうとした結果、
 先月、「花咲き地蔵」として高さ40センチほどの大きさとしてシーパルピア女川の一角に安置されました。
今では、お地蔵様の隣に3mほどの桜の若木も出現し津波桜の「孫桜」が枝を伸ばし新芽をつけています。花を咲かせるのは難しいかもしれませんが、これから数年かけて立派に咲いてほしい、と女川桜守りの会の方々は願っています。
 浦宿からトンネルに入り、そこを抜けると女川町。そこにいつか桜並木のトンネルができたら、この町は”桜の町”になっていくかもしれないと期待を膨らませます。「女川の桜の町に」を合言葉に現在も精力的に植樹活動を継続しています。今後は地域の子供たちも巻き込んでいきたいと、未来への夢をお話しくださいました。

4月10日(月)放送

どっとなとり閖上会 説明会
古野真也アナウンサー取材リポート

名取市で活動を行っている「どっとなとり」が閖上在住者を対象に先月3月16日に仮設の閖上公民館で「閖上会」が開催されました。
「閖上会」は、地元出身の大友貞子さん(91)が先生として、そして閖上にゆかりのある地域住民の方々が参加し、漁師町をなつかしみ、閖上大漁節などの民謡や三味線などを楽しみました。この会では6年ぶりに再開する住民の方々もいらっしゃり、始終閖上地区の震災前の思い出を共有するような、懐かしいメンバーとの再会に、笑顔と笑い声で会場は包まれました。
参加された方の中には「戻れなくても閖上に戻れない」「移り住んだところで生活の基盤が出来てしまった」などさまざまな事情を抱える人もいて、自身が抱える悩みなどを聴く、話すなどコミュニティの場としても活用されました。
次回は、4月20日、仮設の閖上公民館で開催が予定されています。閖上にゆかりのある方ならどなたでも参加可能です。閖上での「お茶っこ」へ是非参加してみてはいかがでしょうか。

石巻のシンガーソングライター 萌江(もえ)さん
林 朝子アナウンサー取材リポート

石巻市出身のシンガーソングライター 萌江(もえ)さん、現在22歳でシンガーソングライターとして活躍しています。趣味から始めた音楽でしたが、大学を卒業を機に、シンガーソングライターの道を選び活動を本格的にスタートさせました。
石巻市の街ナカイベントなどで積極的に歌を披露してきました。そして、この度3月にワンマンライブを行う程になりました。ワンマンライブは高校生からの夢だったそうで、石巻の市民の皆さんの暖かい声援にはげまされて開催にこぎつけました。
ワンマンライブのほかにも、仙台からライブ会場の石巻市まで走ってその途中で歌を披露する「マラソンライブ」などの企画も行ってきました。
萌江さんは、東日本大震災時に感じた「音楽の存在」を改めて感じ、本格的に音楽の道へ進むことを決めました。高校生だった当時の石巻市の風景が一瞬でなくなってしまった経験は今の自分の強さ、原動力になっているそうです。
そして完成した曲「いしのまきのうた」。歌詞の一部「いいところだよ 幸せな町 のんびり時間が流れていくよ 負けはしないよどんな試練にも きずなと笑顔で結ばれているから」は“いしのまき”の頭文字で始まっています。
今後も、地元石巻に、たくさんの人が来てまた笑顔があふれる街に復興していくことを目標に、これからも歌い続けます。

◆LIVE情報◆
萌江(もえ)さんが出演するLIVEは、
・日時  2017年4月11日(火) 午後6時~
・場所  仙台MACANA   で行われます。
「いしのまきのうた」は手売りでCD販売されます!

4月3日(月)放送

今夜は、3月11日(土)の東日本大震災特別番組「絆みやぎ明日へ」から、「震災6年の手紙」と題していただいたお便りを紹介します。
(読み手)
藤沢智子アナウンサー
伊藤晋平アナウンサー