Archive for 2018年1月29日

1月29日放送

石巻市 高橋力蔵さん
佐々木淳吾アナウンサー取材リポート

高橋力蔵さんは震災時石巻市で配管業を営んでいました。今高橋さんの工場には震災で折れ曲がった標識や津波で壊れた製品が多くあり、震災後に集めた廃棄物、震災遺物を利用してみんなにみてもらう、という活動を行っています。今も南浜町や津波に襲われた地区をまわり、遺物を集めています。そこで「頑張った人たちの証=がれき」を工場できれいにして保管しています。
がれきは今は「がれき」として扱われていますが、震災前は人が生活していた中にあったバス停や標識など大事な必需品であり、その遺物を「がれき」として処分したくない、という気持ちがあるからです。がれきが草に覆われて土にかえっていくのはあっという間で、その津波の威力を目で見てわかってもらうことでその日を忘れてほしくない、と高橋さんは願っています。
映像や言葉ではなく、高橋さんはモノで震災をみてほしいということで、連絡をすれば見学ができます。連絡先は0225-93-5418、石巻市 高橋力蔵さんまで。

海辺の図書館 仙台市若林区荒浜 庄子隆弘さん
林田悟志アナウンサー取材リポート

海辺の図書館は、震災前の生活や文化を元住民から聴いたりしながらの「まちあるき」や、波の音が聴こえるベンチで読書や楽器の演奏をしたり、石窯ピザ作りやBBQを楽しんだりすることが、“本を読むように”体験できる図書館です。庄司さんは生まれも育ちも荒浜で、図書館の場所は生まれ育った場所にあります。海辺の図書館は、小説家村上春樹さんの本からヒントを得て、その物語を作る場所として作ったそうです。
今まで、何気なく過ごしてきた場所で新たな発見や出会いがあることが単純に楽しいということで、震災後地元荒浜を考える良い機会になりました。自然の魅力、荒浜の魅力に引き寄せられて訪れる人たちとの交流、特に人とのつながりを大事にしています。この荒浜の魅力である砂浜で、海をバックに鎮魂の能楽を舞うイベントや荒浜再生を願う「荒浜REBORN」として荒浜の再生を目的とした海岸の清掃活動を行ったりしています。活動には外国人も参加しています。
震災から間もなく7年、庄子さんは荒浜地区へ今後戻られる元住民の方が、ふるさとへ戻った時に淋しい気持ちにならないよう気を付けていきたいと話してくださいました。いまも居住禁止区域ではありますが、荒浜の良さや自然をずっと守っていきたいとの気持ちからです。七ヶ浜出身の八巻さんもこのプロジェクトにかかわり「海辺の図書館」の活動の記録を続けています。

1月22日(月)放送

<本日は、TBC気象台 上原 諒予報士が天気状況を解説します>

命と心の授業 名取市立第一中学校
取材リポート 小笠原遥アナウンサー

ターミナルケアの向上を目指す出前講座「命と心の授業」、仙台ターミナルケアを考える会は12月5日に名取市立第一中学校で授業を行いました。学校の中で命の授業を行うことはあまりなく、事務局の中保良子さんは10年ほど前からずっと授業を実施したいと思っていました。それは東日本大震災で「命」や「死」を考えるきっかけがあったからです。
まずは「こんにちは、赤ちゃん」という授業からスタートです。特徴のひとつ「妊婦の議事体験」は、おなかの中に赤ちゃんががいる妊婦さんを理解することからスタート、グループごとに意見や感想を出し合いながら授業は進みます。おなかの中に赤ちゃんがいることは思った以上に、守ってあげたい気持ちや愛しさを感じた生徒が多く、命の重さを感じたようです。
また、具体的に赤ちゃんの人形を抱いたりおなかに風船を入れたりすることで「今まで大事に育ててくれてありがとう」「産んでくれて、育ててくれてありがとう」など感謝の言葉を感想としてもった生徒がいました。震災の時に亡くなった命があったことも生徒たちは理解していて、生きていることが偶然じゃないと思ったようです。
授業では保護者の方々も見学していて「震災時、避難所となったこの場所で今回の授業が行われたこと、命の大事さを考えることができたことが良かったと思います。この経験を今後の生活の中で行かしてくれれば・・・」と話してくださいました。震災はたくさんの命が亡くなった大災害ということだけではなく、亡くなった人々の人生がひとつひとつあったことを理解する、その命を尊重しすることです。命を繋げていくことがどんなに難しく尊いものかを、たくさんの人たちに考えていってほしいものですね。

1月15日放送分

平成30年、最初の放送です、今年もよろしくお願いします。

気仙沼支局 重富裕昭記者電話リポート

気仙沼市もきょうは冷え込んで氷点下6.2度という最低気温で朝を迎え、温度差がありインフルエンザに注意をしなければならないな、と思っています。きょうは、三陸自動車道の今後について話したいと思います。震災前は、登米東和インターまでつながっていて、南三陸町や気仙沼市の沿岸ルートが延長されています。先月は歌津インターまでつながりました。1年2か月の間に南三陸町は3か所もインターチェンジがオープンしました。
この高速道路開通で、気仙沼から仙台へのアクセスがとてもよくなったと感じています。車の流れも変化があり、早い、走りやすいという印象を受けます。交流人口の拡大を掲げている南三陸町にとっても、たいへん良いことだと思います。ハマーレ歌津にもサービスエリアのような役目ができ、経済効果も感じることができるようになりました。来年3月までには気仙沼市の本吉町まで延長する予定があって大変楽しみですが、その反面、国道や南三陸町は通過される町、という問題がでてくるのではと不安な面も見えてきました。
今後は、南三陸町にとって気仙沼までの道路の開通は「たった1年しかない」という見方もあり、南三陸町に立ち寄ってもらうイベントや商店街の努力も多く必要になり、震災の風化を防ぐためにも、伝え方、発信力が大事になってくると課題も見えてきました。それぞれの魅力を発信しつつ、被災地を周遊するなど連携も大切になっていくことになるでしょう。

東北大学災害科学国際研究所 今村教授
根本宣彦アナウンサー取材リポート

地震調査委員会の東北大学災害科学国際研究所 今村教授に聞きました。地震の長期評価について、東日本大震災の反省をもとに北海道の大震災についても蓄積物調査が進んでいます。文献が少ない中、地層を調査することによって今後の様々な超巨大地震について、30年以内におこる予測があります。
十勝沖や根室沖など北海道エリアについてもM8クラスで起きる可能性、この地震による東北地方では青森や岩手についても連動性や関係性が全くないといえない状況にあります。
今後の調査にもよりますが南に広がる可能性もあり、巨大地震の発生は津波などの被害を東北(青森・岩手・日本海側)にもたらす可能性があるため、避難方法や原子力関連施設への影響など、今後は防災・減災対策、巨大地震に対する対策についても早めに対応することが必要となります。住民のためのハザードマップ、住民の避難場所の確認などソフト面でも準備が必要となります。
改めて直下型地震について、未知の活断層に備え日本各地で幅広に考え、防災訓練や建物の補強、東日本大震災から7年経つ現在、常に備えや点検補強、耐震性の確認をさらに確認することが必要となります。今この瞬間からもう一度災害について考える必要があります。、