Archive for 2020年1月27日

1月27日(月)放送

多賀城市 防災備蓄食 ワンテーブル 島田昌幸さん
安東理紗アナウンサー取材リポート

水なしでできる備蓄食料を手掛けた多賀城市にある「ワンテーブル」は、震災時に苦労した実体験をもとに島田昌幸さんが起業した会社です。
硬い乾パンや、水で戻せなかった備蓄品などで『ひもじい』思いをしたことがきっかけになり、ゼリー状の備蓄品の開発に着手・成功し去年11月に販売を開始しました。このゼリーの備蓄品は、保存期間が5年で、カロリーの高いもの、ビタミンメインの商品、などバランスや栄養面でとても優れた商品となっています。
そして、防災備蓄食 ワンテーブルは2018年にJAXA宇宙開発機構と提携し宇宙で食べられる備蓄品も開発しました。閉鎖空間である宇宙は、避難所生活と共通点が多く水不足・栄養不足・ストレス環境などの問題解決にもつながっています。両面をカバーできる『BOSAI SPACE FOOD』は災害時にも介護食、宇宙食の「極限環境」で世界を股にかけて利用され、躍進していくことが期待されています。

気仙沼市 重富記者電話リポート
電話インタビュー

気仙沼市光洋高校旧校舎を活用した、市の東日本震災遺構・伝承館が去年3月にオープンしました。気仙沼まで三陸自動車道が開通したこともあり、多くの人が足を運んでいます。去年7月から始まった杉ノ下地区住民による語り部活動は、地区住民と、地元の階上中の生徒によって行われ特に階上中では、震災前から防災学習に力を入れているため、地震のあと避難するまでの時間やルート、避難行動などを調べ様々な形で発表をしています。(次回は3月11日中学生の語り部が予定されています)
震災語り部の利用者数が減少する中で「伝承活動」という意味で大きな期待も寄せられていますが、今後発生するかもしれない災害への備えをいかに呼びかけることができるか、重要な課題も持っています。

1月20日(月)放送

角田市 児童文学作家 堀米 薫さん
藤沢智子アナウンサー取材リポート

堀米さんは、角田市在住の児童文学作家です。東日本大震災では原発事故の影響で大変な時期を過ごされましたが今回は、台風19号の影響で大きな被害があった自宅周辺のお話をお伺いしました。
和牛の飼育や稲作、林業も行っている堀米さんのお宅では、裏側が山に面していたため大雨災害で自宅や牛舎に大きな被害を受けました。この被害の大きさを改めて感じるとともに、災害が起きた時にどのように対応するか、経験を伝えていくことの大切さを感じたそうです。報道されていない場所で起こっている出来事、周辺地域の方々との「共助」の大事さ…。今後の執筆活動においてもいくつかキーワードが挙がりました。災害前の生活に戻るための作業はまだまだありますが、一歩一歩前進しています。

阪神淡路大震災から25年
根本宜彦アナウンサー取材リポート

阪神淡路大震災から25年が経過して、震災の記憶や教訓を次の世代につなげる取り組みが課題となっています。神戸には防災・減災の情報発信の拠点となる「阪神淡路大震災記念・人と防災未来センター」があります。震災の経験を語り継いでその教訓を生かし、将来起こるといわれている災害に備えることを目的に2002年にオープンしました。そのお話を事業部長の今井隆介さんにお話をお聞きしました。
阪神淡路大震災を経験されていない、知らないという方が増えてきています。その面からは風化を感じるところで、東日本大震災の被災地と違って「震災遺構」というものは阪神の方にはもうありません。町もきれいに復旧復興していますので、神戸を今訪れた方はここで地震があったことを、風景からは感じられなくなっています。
現在センターには、年間50万人の方が訪れ、その中の約半分が小・中学生となっています。社会に災害文化を根付くようにするには若い世代の人に対して災害の経験と教訓を伝えていきたいと思っていますが、ここでおこった災害は「直下型地震」で、現在のように緊急地震速報の通知が来る前に大きな揺れが起きます。突然揺れる直下型地震は、どのようなパターンの地震が来るかわからず猶予がありません。今後、どのように教訓を次の世代へ語り継ぐか、命を守るためにどう備えていくか改めて問われています。

1月6日(月)放送

仙台市若林区荒井 農家 平松希望さん
伊藤晋平アナウンサー取材リポート

仙台市若林区の農家、平松希望さんです。東北大学卒業後、仙台市内で就農に向けた研修期間に入り、その後独立、農家として3年目となった2019年を振り返ります。
2019年は、平松さんにとって大きな一歩を踏み出した年、仙台荒浜地区の集団移転跡地の事業候補者に応募、0.9ヘクタールを借り受けることになりました。借り受ける場所は震災遺構である荒浜小学校のすぐそばで、第3次募集で応募に踏み切りました。応募するにあたって不安や悩み、葛藤がありました。もともとは住宅地だった場所ですので、土つくりからのスタートです。まずは花を植えてのスタート、花を育てていくことで農業に適した土に変化させます。借入期間は20年。新たな場所でのチャレンジが始まります。「自分自身が農家として、ちゃんと採算がとれるよう事業計画を練って協力者・事業者としっかりやっていきたいです」、という言葉からは力強さが感じられました。まずは震災遺構のそばにきれいな花が咲いて、その後農地として適した土を育てていく…。2020年は新たな1歩となりそうです。

3.11みやぎホットライン「3.11伝承ロード推進機構」
根本宜彦アナウンサー取材リポート

今年2020年は、東日本大震災から丸9年、10年目になります。それを前に震災の教訓、記憶を伝承するための「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」が整備されました。気仙沼向陽高校の旧校舎は、去年3月から一般公開、震災復興祈念公園は今年秋に全面開園の予定です。
「3.11伝承ロード推進機構」は、”東日本大震災に関わる伝承活動・施設が永続的に行われ、次の大災害に向けてその教訓を伝え続けていけるための機構(システム)”で、産学官民が連携し、被災地と一体となって進めていくことが目的の組織です。代表の東北大学今村教授が代表となり現在、青森から岩手、、宮城、福島まで192ヶ所が「3.11伝承ロード」として登録、震災の教訓や防災を後世に伝えていくために活動に取り組んでいます。
施設のネットワーク化で、震災ツーリズムや防災教育ツーリズムも今後は視野に入れ、また語り部の研修や育成の支援を考え、東日本大震災から10年の今、3.11に何があったか改めて考える発信の場として大きな役割を果たしていきます。

2020年もどうぞよろしくお願いいたします。