TBC気象台日誌

山沿いで12月上旬としては記録的な大雪 その要因は?

今月2日から4日にかけて、西部の山沿いでは12月上旬としては記録的な大雪となった所がありました。栗原市駒ノ湯では最深積雪が109センチにまで達し、全国のアメダスでは今シーズン初めての1メートル超えに。また、大崎市川渡では56センチと、12月全体としても4位の記録になりました。なぜ、このような大雪になったのか、大きく2つの要因が考えられます。

●変則的な冬型の気圧配置
 強い冬型の気圧配置に伴う大雪でしたが、今回の冬型は変則的な形でした。
 通常の冬型では、低気圧はアリューシャン列島付近で発達。北西の季節風に乗って、活発な雪雲のライン(JPCZ=日本海寒帯気団収束帯)は主に北陸方面へと流れ込みます。
 一方、今回はロシア東部の沿海州付近で低気圧が発達。それに伴って、東北地方には日本海から南西の風が吹き、活発な雪雲のラインはちょうど宮城に向かって流れ込んできました。

12月2日 天気図
12月2日 レーダー


●日本海の海面水温の高さ
 日本海の海面水温は平年より高くなっていました。上空に流れ込んだ強い寒気の影響で、上空と海面とで温度差が大きくなり雪雲が発達。さらに、日本海で水蒸気の補給を受けた湿った風が奥羽山脈にぶつかって強制上昇し、雪雲の発達をより進めました。

12月2日 日本海の海面水温
日本海の海面水温平年差(今月2日、データ・気象庁)

一般的な冬型の気圧配置による雪だと、今回のような強い寒気が流れ込む場合は白石や古川などの平地でもある程度は積もるのですが、白石と古川のアメダスによる積雪は0。そうした点で、今回の大雪は非常に珍しいケースだったといえます。

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