石巻市北上町十三浜吉浜出身 立身 憲一さん
伊藤 若奈ディレクター 取材レポート
20代で網膜色素変性症を患い、50代で光を失った立身さんの
東日本大震災発災からこれまで、そしてこれからについてお話を
伺いました。自宅で被災後、社会福祉協議会の職員さんとともに
北上中学校に避難。吉浜地区にあった家の殆ど全壊の被害を受け
ました。目の見えない方にとって住まいや周囲の環境の変化は、
より大きな不安を持つことが想像されます。そんな中立身さんは
避難所でもどかしい思いをしていたと話します。何か人の役に立
ちたいのに何も出来ない…そんな思いを抱えながら時は過ぎ県外
への避難をせざるを得ない状況が立身さんに巡ってきます。石巻
を離れ、横浜、仙台へと転々と移動。5年前に石巻に戻り、親戚
と共に生活再建の道を歩み始めます。しかし故郷・北上町十三浜
吉浜に住むことは叶いませんでした。
今、立身さんは目が不自由な方々がコミュニケーションを深め、
社会に役立っていく為の様々な活動を率先して行っています。
自宅でマッサージの仕事をしながら、仲間と畑での作業に汗を流
し、読み終わった点字雑誌を封筒に加工し再利用につなげるなど、
目の不自由さをものともせず、周りの人達を引っ張っています。
最近では目の不自由な子供達との交流を深める活動を始めていま
す。「子供は可愛く孫を持った感じ」という喜びを噛みしめてい
ます。同じハンディのある自分だからこそこれからの人生をこう
した子供達の成長に力を注いでいきたいと決意を語る立身さん。
そして、周りには明るさに惹かれて集まる多くの方々がいます。