10月5日放送分

仙台市小学5年生
堀内津麦さん
三浦菜摘アナウンサー 取材リポート

仙台市の小学5年生 堀内津麦(つむぎ)さんによる、防災への取り組みについて取材しました。その取り組みとは、“物語を書くこと”です。今年4月、津麦さんが書いた物語『灯かりが消えた夜に』が、アンデルセンのメルヘン大賞という童話コンクール・こども部門で入賞しました。物語は、去年の台風19号や東日本大震災を題材にしています。
小さいころから物語を書くのが大好きだった津麦さん。この作品を通して、実際に災害を経験していない子供が、防災について考えるきっかけになってほしかった、と話してくれました。また、作品には災害への備えの意識を高めてほしい、という思いも込められています。
小学生ながら防災意識が高いのは、日頃から、お母さんの睦乃さんから、東日本大震災の話を聞いていたからでした。
また、防災について考えることで生まれた、津麦さんの“自然を大切にしたい”という思いは、作品の中にも込められています。その象徴が“星”。物語でも、様々な場面でその“星”が登場しました。それは、“不安な中で見る星空は安心に繋がった”という睦乃さんの震災当時の話を聞いたことがきっかけでした。
津麦さんは「今のコロナの状況を、これから生まれてくる子供たちに伝えたい」と言います。経験した人が、次の世代に伝えていく。こうした“伝承”が、いつ起こるかわからない災害で、少しでも被害を減らすことにつながるのではないかと感じました。

〈第37回アンデルセンのメルヘン大賞 堀内津麦さんの作品 「灯かりが消えた夜に」〉
台風が街中の灯りを消した夜、ゆうじ君は真っ暗で本も読めないので、ため息をつきながらふと夜空を見上げました。
「あれ?こんなに星があったっけ?」
今まで見たことのないほど、夜空には星がたくさんまたたいていたのです。すいこまれそうなほどかがやく美しい星たちは、見ていてあきません。どのくらいの時間がたったのでしょう。まどから部屋に目をやると、ゆうじ君の家族はみんな一つの部屋でねてしまっていました。つけっぱなしのラジオからは、また新しい台風が発生したと言っています。ねている家族を見てほっとすると、また空に目をやりました。すると、星空がとつぜんぐるぐるとまわりだしたのです。そして真ん中に集まったと思ったら一本の線になり、その線は長い行列になってだんだんとゆうじ君の方に向かってきました。その長い行列は、おおくまざやさそりざなどのたくさんの星ざたちでした。ゆうじ君は、思わず一番後にならびました。
「どこに行くの?」
ゆうじ君は前にいたこぐまざに聞きました。
こぐまざは
「えっとね、風の神様エウロス様に台風を消してもらうようにおねがいしに会いに行くんだ。」
ゆうじ君はギリシャ神話が好きだからエウロス様のことを知っていました。星ざたちの行列は、だんだんと夜空に大きな円を作りました。秋の代表の星ざペガサスが前に出てきました。何が起こるのだろうとゆうじ君がきょろきょろしていると、円の真ん中に、風神とエウロスがあらわれました。
二人は
「わしのほうが強い!」
「いいや、わたしのほうが強い。」
などとどちらが強いか言いあらそっていました。ペガサスがけんかを止めに入りました。
「どうかけんかをおやめくださいませ。あなた達のけんかで大きな台風ができて、とても大きなさいがいがおこっています。だから・・・」
ペガサスがそう言ったとたん風神が
「やはりわしのほうが強かったのじゃ。」
とエウロスに言いました。エウロスは顔を真っ赤にして
「なんだと!その台風はわたしが起こしたのだ!」
二人のけんかはいつまでたっても終わりません。ゆうじ君は自分のことしか考えない二人を見て
「もうやめてよっ。早く台風を消してよ。こっちは大変なんだよ。一階は水でびちゃびちゃになって、家族みんなで二階の部屋でねてるんだ。学校にもいけないんだぞ。」
と二人に大きな声で言いました。その声を聞いた星ざたちは、おどろいてゆうじ君を見て言いました。
「人間がなぜここにいる!わたし達が見えるのか!」
他の星ざたちもざわざわしています。そんなことも気にせず、ゆうじ君は二人に
「けんかしないで早く台風を消してよ。」
何度もたのんでいると、こぐまざが
「そうだよ。けんかよりもまずは台風を消してよ。台風を消さなきゃぼくたち星ざたちは雲でかくされて、見てもらえなくなる!」
そうなのです。星ざたちは地上にいる人たちに星を見てもらうのが仕事なのです。そのことを思い出したかのように、口ぐちに星ざたちがそうだ、そうだと言いだしました。
「そもそもは、人間達が地球を大切にしないのがいけないんだろ。そんな人間のたのみをやすやすと聞くか!」
風神が言うとゆうじ君は
「それはちがうよ。たしかにゴミを道に捨てたりする人もいるけど、そんな人だけじゃないよ。海や森を大切にしている人だっているんだ。ぼくは地球を大切にするよ、地球と仲良くなるよ。やくそくするから、だからおねがい!台風を消して。」
必死にお願いするゆうじ君を見て、エウロスは小さくため息をつくと、
「わかった。台風を消そう。ただし、これからも地球と友達でいるんだぞ。」
そう言って、けんかをしていた風神とどこかへ消えてゆきました。星ざたちも、けんかがおさまったので元の夜空にまた列をなしてもどって行きました。ゆうじ君は星ざたちとまた会おうとやくそくして家に帰りました。
また街中に明かりがもどり、見える星の数は前と同じようにぐっと少なくなりました。ゆうじ君の家のかたづけももうすぐ終わりそうです。暗くなった空を見て、ゆうじ君は少しさびしい気持ちになりましたが、ギュッとこぶしをにぎりしめ、地球と友達になってまた夜空のみんなに会うんだと心の中でちかいました。

〈アンデルセンのメルヘン大賞URL〉

https://www.andersen-group.jp/meruhen/

8月31日(月)放送分

南三陸町 志津川高校
及川 拓海さん・木下 巧大さんへのインタビュー
安東 理紗アナウンサー 取材リポート

防災に関心を持ち日々学習に励む志津川高校3年の及川
拓海さんと2年の木下巧大さんにお話を伺いました。2
人は今年3月、高校生では初めて宮城県の防災指導員に
認定されました。2009年に制定された県の防災指導
員制度。現在7451人の指導員が活動中です。2人が
指導員を目指したきっかけは、今年1月に開催された
「防災ジュニアリーダー養成研修会」に学校代表で参加
したことでした。元々、学校の「防災クラブ」に所属し
地元の消防士などから地域の防災に関する話を聞いてい
た2人。全国各地の高校生との情報交換を通して、刺激
を受け、指導員になることへの興味と関心を深めていき
ました。今、意識して活動しているのは「自宅での防災
対策」。食料の備蓄はあるものの、1週間継続して生活
をしていけるかなど、より高い防災意識の醸成や、同じ
世代の活動者を増やしていくための取り組みなど、今後
10年単位での取り組みを考え始めているそうです。
そして、東日本大震災を経験している子供たちが少なく
なっている状況の下、より高い使命感を持って防災に
向き合っていきたいと話してくれました。2人の眼差し
とその言葉に、地域の生活を守る力強さと逞しさを感じ
ることが出来ました。

石巻市 プレイングユニット的戯(てきぎ)
都甲 マリ子さんへのインタビュー
古野 真也アナウンサー 取材レポート

石巻市を拠点に、地域の人達と共に不定期で劇を行って
いる「プレイングユニット的戯」代表、都甲マリ子さん
にお話を伺いました。的戯の最初の公演は2007年。
その後、2011年と2014年に主に東北地方で公演
を重ね、今回、バーチャルリアリティー(VR)専用の
ゴーグルを付けて観る演劇を初めて行いました。演題は
仮設住宅に住む男女2人の話。演じたのは都甲さんと、
福島県伊達市在住の俳優・佐藤隆太さん。新型コロナウ
イルス感染拡大の中「3つの密」を避けながら、東北を
まとめられる話を伝えてたいとの思いで自ら台本を執筆
し、演じました。実は都甲さんは東京都の出身。東日本
大震災の発生後、津波で被災した石巻市で半年間、住み
込みでボランティア活動を行った後、生活の拠点を石巻
市に移し仕事をしながら演劇活動を続けています。都甲
さんの作品の中心は、復興の最中で感じたことや思いな
がらも声に出せなかったことが中心。見た人の捉え方、
感じ方は様々ですが、作品のどこかで共感や理解しても
らえるところがあれば、演じた意味ややりがいを感じら
れると話してくれました。新型コロナウイルスの感染拡
大はありますが、被災地で生きる人達の胸の内を代弁す
るべく、演じる工夫を続けながら、多くの人に観劇して
もらいたいと話してくれました。

8月24日(月)放送分

石巻市鮎川浜 おしかホエールランド
鮎川まちづくり協会 齋藤 富嗣さん
藤沢 智子アナウンサー 取材リポート

今月5日に取材した石巻市鮎川浜からのリポート。鯨の町
鮎川のシンボル「おしかホエールランド」は東日本大震災
の津波で大きな被害を受けました。先月22日、震災から
9年4か月ぶりに施設が再開。当初、ゴールデンウィーク
前の4月末にオープンする予定でしたが、新型コロナウイ
ルスの影響で3か月遅れでのオープンとなりました。鮎川
まちづくり協会の齋藤富嗣さんに施設を案内していただき
ました。津波で多くの展示品は失われましたが残った貴重
な資料を中心に展示されています。クジラの生態を学ぶコ
ーナー、町のクジラ文化や歴史を学ぶコーナー、海の魅力
を紹介するコーナーがあります。津波の被害を免れた貴重
な写真はとても引き付けられました。さらに海を泳ぐクジ
ラの豪快な姿を大画面で体感出来るコーナーもあり、一緒
に泳いでいる雰囲気を味わうことが出来ます。施設の近く
には1988年まで操業した大型捕鯨船「第16利丸」が
保存され、現在改修中です。オープン約1ヵ月で来館者は
は1万人を超えたそうです。午前9時~午後4時開館で、
水曜休館。隣接する「おしかホエールタウン」で鯨料理を
楽しむことも出来ます。是非訪れてみてはいかがですか?

8月17日(月)放送分

石巻市 かわまちオープンパーク
街づくりまんぼう 三浦 悠さん
長南 昭弘ディレクター 取材リポート

津波や高潮などの被害から街を守ろうと、石巻市の旧北上川の
河口一帯に建設中の堤防のうち内海橋までの完成部分を使って
先月23~24日に「かわまちオープンパーク」というイベン
トが開かれました。新型コロナウイルスの影響で外出がままな
らなかった家族連れが数多く訪れました。イベントの目玉は、
市内で39体目となる「仮面ライダー」のモニュメントで、特
に初代ライダーの「1号」とその愛車のオートバイ「サイクロ
ン号」。実物大サイズで仮面ライダーと共に乗車出来るとあっ
て子供たちは大喜びでした。加えて、周辺では釣りやボート・
カヌーの乗船会などが行われ、思い思いの水辺でのひと時を過
ごす人達の姿が広がっていました。今回、イベントを主催した
のは石巻市の街づくり会社「街づくりまんぼう」、そして様々
な団体や個人が協力して運営していました。担当の三浦悠さん
は「自分が生まれ、そして好きな石巻の街の魅力は海や川。東
日本大震災で大きな被害があり、悲しい記憶は消えませんが、
街の魅力である「水」との付き合い方を知っていくことの大切
さを胸に今後も取り組んでいきたい」と話してくれました。
「街づくりまんぼう」は今年5月、河川を活かした街づくりに
おける様々な事務機能や事業の運営資格を持つ「都市再生推進
法人」に認可されました。これからも石巻市中心部の活性化に
向けた取り組みを積極的に進めていきたいと話してくれました。

8月3日(月)放送分

石巻市雄勝町
荒浜地区会長 高橋 輝雄さん
雄勝町渚伯推進協議会代表 阿部 久良さん
藤沢 智子アナウンサー 取材リポート

石巻市雄勝町中心部から車で20分。半島の北側、外洋に
面した集落「荒地区」を先月取材しました。ここには地元
の人達が慣れ親しんできた「荒浜海水浴場」があります。
波が穏やかな日は透き通る波が寄せる砂浜が広がります。
今年は震災後、ようやく海開きをする予定でしたが、新型
コロナウイルスの影響で再開を断念せざるを得ませんでし
た。代々荒地区で養殖業を営む荒浜地区会長の高橋輝雄さ
んにお話を伺いました。今、荒地区に住むのは20世帯。
かつての半分になってしまったそうです。東日本大震災の
当時は道路が寸断され、避難を含めた移動に苦労したそう
です。また、津波の影響もありましたが、昭和8年のチリ
地震津波を教訓に地区の人達は高台に移転していたことで
物資の供給など、地区で連携した助け合いながら日々を過
ごしたということです。若い人達が地域に少なく、高齢者
も80歳を超える方々が多いそうですが、未だ漁業を営ん
でいる方々が多いそうです。遠浅の砂浜が続く「荒浜海水
浴場」。震災前は県外、主に関東圏からの来客が多く、賑
わいを見せていました。今年この海水浴場を震災後初めて
運営する予定だった雄勝町渚伯推進協議会代表の阿部久良
さんも子供の頃から慣れ親しんだ場所です。震災の津波で
砂が流出したこの場所がようやく人が呼べる状態にまで戻
っていた最中、新型コロナウイルスの影響で今年は海開き
をすることが出来なくなってしまいました。高齢者が多い
地区が故の悩みでもありました。指定管理者として運営の
準備をしていた阿部さんですが、地区の人達の話を聞き、
地元の人達の健康無事を思えばやむを得ない判断だったと
理解しているそうです。当初、マリンレジャーを取り入れ
た過ごし方の提案を計画していただけに、ただただ残念と
話していました。雄勝でも指折りの風景を持つ「荒浜海水
浴場」を多くの人達に楽しんでもらいたかったそうです。
そのためにも日々ボランティアの方々を掃除をしたり、地
道な活動を続けてきました。新型コロナウイルスの感染が
収束したら是非海開きをしたいということです。
これからの「荒地区」にどうやったら若い人達が身を寄せ
てくれるのか?高橋さんと阿部さんは周辺地域が手を携え、
協力し合うことの大切さを胸に刻む日々を過ごしています。