3月20日(月)放送分

児童文学作家 佐々木ひとみさん
藤沢智子アナウンサー インタビュー

仙台市在住の児童文学作家の佐々木ひとみさんによる著書「ぼくんちの震災日記」(新日本出版社)が2月20日に出版された。仙台で暮らす、ある家族の東日本大震災発生から4日間の物語だ。
2020年に河北新報の夕刊で「がんづきジャンケン」として連載されていた作品が、今回単行本「ぼくんちの震災日記」として発売に至った。子どもたちにはまず物語を楽しんでほしい、心に残って災害が発生ときに思い出してほしいと語る。
作中には宮城の郷土お菓子「がんづき」が登場する。主人公の友樹の好物であり、震災発生後も頭から離れないお菓子だ。佐々木さんは、食べ慣れたものがあることが日常だと考え、がんづきを日常の象徴とした。
本には震災の時に役立ったものとして「お母さんの『あってよかった!』メモ」もあるので、ご参考にしてみてはいかがでしょうか。

「ぼくんちの震災日記」の挿絵の原画展が4月1日(土)から30日(日)まで、青葉区一番町の「ライフスタイル・コンシェルジュ」で開催される。午前10時~午後5時まで。月曜定休。
入場無料。

「ぼくんちの震災日記」(作・佐々木ひとみ 絵・本郷けい子/新日本出版社)

https://www.shinnihon-net.co.jp/child/detail/name/%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%82%93%E3%81%A1%E3%81%AE%E9%9C%87%E7%81%BD%E6%97%A5%E8%A8%98/code/978-4-406-06705-8/

3月13日(月)放送分

気仙沼大島 ヤマヨ食堂 小松武さん
林田悟志アナウンサー 取材リポート

気仙沼大島にあるかき料理専門店、ヤマヨ食堂の店主を務める小松武さん。90年4代に渡って続けてきた牡蠣養殖も東日本大震災で甚大な被害を受けた。養殖施設はすべて、工場も自宅も全壊。船は燃料をそれほど積んでいなかったため、沖出しはしていなかった。気仙沼市内の水産加工場の屋根に打ち上げっている船が見つかり、2011年11月に海に戻してもらった。もう一度牡蠣の養殖をしようと思ったきっかけだ。2013年11月に牡蠣処理場再建、2014年8月に養殖施設復旧完了、自宅も完成した。そして2022年4月にヤマヨ食堂を開店。海を見ながら料理を食べられたら、と意見があがったところ、ホテルの料理長とのご縁ができ開業に至った。地に足つけて喜んでいただける品質の牡蠣を安定的に続けられるかを第一に考えている、と小松さんは語る。ヤマヨ食堂を訪ねる際は、ぜひご予約を。

Cafe shop 暖 菊田由衣さん
林田悟志アナウンサー 取材リポート

気仙沼大島にある亀山レストハウス内にある、Cafe shop 暖。ランチ、軽食、大島のお土産品などを提供している。以前は喫茶店や居酒屋を経営していた菊田由衣さん。大島大橋が架かるためなくなるという時に、亀山レストハウスを訪れた。誰もいないレストハウスを見て、お客さんがただトイレだけ使って帰っていくのを想像したときに、自分に何かできないか、コーヒーなどを提供する喫茶店を開こうかなと思ったのがきっかけだという。2019年5月にCafe shop 暖をオープン。震災発生から12年が経過し、橋が架かったり、新しくお店ができたりとまちの様子は大きく変わった。だが、海は全く変わっていないという。お店はパノラマの景色が臨めるのが特徴だ。幅広い年代の方、遠方からもたくさんのお客さんが来店する。海を見ながら、海のものを食べたいと、飽きずにリピートし、毎回感動して帰るお客さんもいる。11月~3月は冬季休業。その間にお弁当販売を始めた。高齢化が進んでいるため、ニーズに合った動きをしていきたいと感じるようだ。評判は良く、春以降もカフェ営業とお弁当販売を並行して行いたいと語る菊田さん。
震災発生以前にあった亀山の頂上まで行くリフトは、現在復活の動きが進んでいる。ぜひ大島に足を運んでみては。

3月6日(月)放送分

石巻市立東浜小学校
千葉佳史ディレクター 取材リポート

牡鹿半島にある石巻市立東浜小学校は今年度で閉校となる。分校時代を経て、東浜小学校として開校した昭和30年当時の児童の数は158人。少子化や人口流出もあり、児童数は昨年度は5人、今年度は2人となった。児童が減少したため、運動会は中学生や、他の学校に通う小学生、そして地域の人たちも参加。東浜小学校は地域の伝統芸能の継承にも熱心だった。獅子風流という、豊漁、豊作、健康、安全を祈願する伝統芸能で、はじまりは江戸時代とも言われている。地域の人たちから指導を受け、平成元年から継承活動に取り組んできた。毎年秋には、地域の方への感謝の気持ち、特産である牡蠣の豊漁を願い、各浜を回る「浜巡り」で獅子風流を行ってきた。昨年11月11日が最後の浜巡りの日だった。

先月25日、閉校式が行われた。千葉県からも卒業生が駆け付け、閉校式の様子を見守った。卒業を迎えた児童は、淋しい気持ちを抱きながらも、感謝の気持ちを伝えた。
宮城県内では東日本大震災発生以後、公立の小学校96校、中学校28校、合わせて124校が閉校になった。学校の枠組み以外の「コミュニティ」の作り方に知恵を絞る日々が続く。

2月20日(月)放送分

世界防災フォーラム代表理事 小野裕一さん
根本宣彦アナウンサー 取材リポート

東日本大震災の経験を踏まえ世界各国の研究者が防災の課題や解決策を話し合う「第3回世界防災フォーラム」が仙台国際センターで来月10日から12日まで開催される。東北大学災害科学国際研究所教授で世界防災フォーラム代表理事の小野裕一さんにお話をうかがった。防災は「しなくてはならないこと」というレベルから「したいこと」になればよいと話す。「東北からBOSAIを世界に」をキャッチフレーズに、30のセッションや約100のポスター展示、防災技術の展示「World BOSAI EXPO」、仙台、名取、南三陸の被災地で震災の教訓や復興の取り組みを学ぶツアーを実施する。このフォーラムで、何か意識が変わってほしいと、という思いがある。小学生、中学生、高校生など若い人たちに驚いてほしい、被災された方には経験を基に役立っていけるようになればと期待している。

仙台市防災減災アドバイザー 折腹久直さん
根本宣彦アナウンサー 取材リポート

気象庁は今月1日、緊急地震速報の発表基準にビルの高層階をゆっくりと揺らす「長周期地震動」の予測を加える運用をスタートした。長周期地震動について仙台市防災・減災アドバイザーの折腹久直さんに話をうかがった。
長周期地震動とは、地震の揺れの周期、つまり揺れが1往復するのにかかる時間が長い、大きな揺れ。地震が発生した場所から離れていっても弱まりにくい特徴があり、状況によっては震源から数百キロも離れたような場所で大きな揺れになることもある。また、高い建物の高い場所が長く、大きく揺れやすいのが特徴である。
長周期地震動の階級3以上が予想された場合、緊急地震速報が発表される。高層建物の中にいる人に対して、強い揺れが来る可能性を知らせるために必要である。
高層の建物のエレベーター内で緊急地震速報を受信した際には、すべての階のボタンを押して、最寄りの階ですぐに降りてほしいとのこと。短周期・長中期にかかわらず、緊急地震速報を受信した際にとるべき行動は、自分の身を守る行動。テーブルの下、安全な場所で、低い姿勢で頭を守り、揺れが収まるまで動かないことが基本。

2月13日(月)放送分

山元町 フラワーアトリエ ル・レーブ 塩見公子さん
伊藤若奈ディレクター 取材リポート

山元町つばめの杜地区で「フラワーアトリエ ル・レーブ」を営む塩見公子さん。花屋を営み35年。東日本大震災発生当時、塩見さんは山下の花屋に勤めていた。お昼休憩にお弁当を食べようとした瞬間に地震が起きた。ご自宅に帰ろうと車に乗るも、道路は亀裂が入り、渋滞で進まない。車の中で一晩過ごした。翌日、帰宅しようと向かったところ、知人から津波がきたこと、仲の良い友人夫婦が行方不明になっていること、ご自宅ももうないことを聞いた。
お彼岸に花を手向けたいと電話が入った。お店を片付けると多くの方が来店。話しながら泣いたり、元気をもらったりした塩見さん。そして住まいの再建へ。
角田市のみなし仮設住宅から山下の商店街にあったお店に通っていたが、2017年の暮れにつばめの杜地区にお店も兼ねたご自宅を再建。花屋とともに生け花教室や着付け教室も行っている。震災当時も教室を続け、生徒の方の心のよりどころとなっていた。
今年は十三回忌。色々な思いでお花を求め買いに来る。塩見さんは、特別な思いで来られるお客様に真摯に向き合い、心を込めてお花を選ぶ。