Archive for 2022年2月28日

2月28日(月)放送

東北大学災害国際研究所 所長 今村 文彦さん
根本 宣彦アナウンサー 取材リポート

去年12月、M9クラスの巨大地震が北海島・東北地方の太平洋沖にある
日本海溝・千島海溝沿いで起きれば最大20万人近くが死亡するという
政府の被害想定が公表されました。宮城県では最大震度6弱の地震が
発生し、15Mを超える津波が襲来。避難が遅れた場合、最大8500人の
死者が出ると想定されています。
今村所長によると今回の想定は最悪の想定ということですが、発生が
日中か夜間か、夏か冬かで被害の程度が変わってくるといいます。最
悪の被害が想定されるのは冬場の夜間。低体温症が最も懸念されるこ
とと話しています。11年前の東日本大震災の際には低体温症の実態は
きちんと把握することが出来ませんでした。では、どのような備えが
必要か?非常持ち出し袋にジャケットや毛布といった自ら暖を取れる
ものを用意していおく。避難所においてはポータブルの暖房装置など
が備えれることが望まれます。加えて素早い避難行動があれば犠牲者
を8割減らせるという試算もあるそうです。
宮城県では宮城県沖地震クラスの発生感覚がおよそ40年と短い周期が
想定され、加えて発災から11年を経ていくことを考えると、地盤やプ
レートの緩みも指摘されており、次の地震発生に向けた準備が改めて
必要となってきていることがわかります。
昨今、自然災害がいつ起きても不思議ではないことを認識し、自ら備
えることで被害を少しでも減らしていくことが出来るのではないかと
今村所長は指摘しています。

せんだい男女共同参画財団「エルパーク仙台」 中村 志織さん
藤沢 智子アナウンサー 電話インタビュー

3/5に仙台国際センターを会場に開かれる「仙台防災未来フォーラム20
22」についてお話を伺いました。様々な発表や展示、ワークショップ等が
予定されていますが、その中で「女性と防災まちづくり2022」という
トークセッションが行われます。
女性のリーダーシップを地域でさらに定着させていく目的で、積極的に
地域で防災とまちづくりに参加する3名の女性が登壇します。平常時に
出来ないことは災害時には出来ない…登壇するのはマンション自治会長、
子ども食堂を運営されている方、見守り活動を行っている民生委員。皆
2016年からエルパーク仙台が取り組んでいる「決める・動く」の研修を
修了した方々です。地域が抱える様々な課題、特に女性の視点から見た
防災、避難所運営に対する取り組みについて「顔の見える関係」を大切
にしながら取り組んできた事例等を発表されます。トークセッションへ
の参加したい方は「エルパーク仙台」まで電話、FAX、ホームページ等
で事前に申し込みいただけます。この機会に是非女性の視点による防災
について知り考えてみてはいかがでしょうか?

2月21日(月)放送分

世界防災フォーラム「ワールド防災ウォーク東北プラステン」
根本 宣彦アナウンサー 取材リポート

23日から始まるウォークイベント。福島から青森までの太平洋沿岸を
1ヵ月余りをかけて歩きながら、復興に取り組む人達、災害の記憶を
残し、後世に伝えようとする人達、地域の発展を願う若い人達、全て
の人達が連携し、経験や活動を世界に発信します。東北大学災害国際
研究所の小野裕一教授にお話を伺いました。
新型コロナウイルスの感染拡大もあり、実施が延期されていましたが、
ようやく実施が実現することになりました。
1日あたり8~28キロ歩きます。いわき市の塩屋崎灯台を出発し、その
後、宮城県内では山元町の震災遺構中浜小学校、名取市閖上、石巻市
の大川小学校、気仙沼市を歩きながら、被災地の「今」を辿っていき
ながら、地域の方々のお話を聞いていきます。岩手県、青森県を歩き
出発から2か月後の4月23日に八戸市でゴールする沿岸縦断の旅。まさ
に桜前線の北上に合わせての旅。1日1回はSNSで情報を発信すること
で、例えば「震災後の防災」といったソフト面での「被災地の今」を
発信していけたらと話して下さいました。アポイントを取らず、その
日出会った人達から1つ1つの話を聞いていく…筋書き通りにいかない
ものの、まさに「生」の声「真」の声が聞ける貴重な機会になるよう
です。
震災から11年を迎える3月11日は気仙沼市にいる予定の小野教授。震
災の翌年から被災地を見つめ復興に向けた研究に取り組んできました。
「本当により良い復興になっているのか」その検証に加えて、風化が
進む「震災」を正しく後世に伝えていくために必要なこと「災害は忘
れなければやってこない」というキャッチフレーズを持って「忘れな
いようにする」ための1つのツールにしていきたいと話して下さいま
した。「ワールド防災フォーラム」と書かれた白い法被を着て歩いて
いる人達を見かけたら声をかけてみてはいかがでしょうか?

2月14日(月)放送分

山元町 ダンスインストラクター 上野 協子さん
小野寺 穂実ディレクター 取材リポート

JR常磐線の内陸移設で出来た新しい街「つばめの杜」でダンスを教える
上野さん。未就学児からシニアまで130人がチアダンス・ヒップホップ・
ヨガ・よさこい・ズンバなど幅広いジャンルのダンスを楽しんでいますが
特にチアダンスを教えている上野さん。元々はバトントワリングやバレエ
をやっていて、多くの人達と踊るのが好きだったでした。そんな上野さん
が山元町で指導することになったきっかけは東日本大震災。震災発災後に
仮設住宅で避難生活を送っていた人たちに元気を届けたいと回っていた中
で縁があって山元町でチアダンスを教えることになっていきました。
週に一度、仙台市から山元町に通っている上野さん。チアダンスのテーマ
は「笑顔」。そして上野さんが目指すもの、それは「ダンスのまち山元町」
です。教室で汗を流す人たちの中には「町全体が明るくなっていく様子を
感じてる」といった感想を持つ人が増えてきています。
当初は体がついていけるが自身が無かったと話す人たちも、今では楽しく
健康づくりが出来るとあって、楽しみにレッスンに足を運んでいます。
こうした「輪」の拡大は上野さんの今の動きからも見られます。山元町の
他に、東松島市や石巻市でレッスンをスタート。
「被災地から笑顔を」この思いを胸に、これからもチアダンスの指導に汗
を流していきたいと話してくれました。

2月7日(月)放送分

山元町 弁当店「きく邑」 菊地 博子さん
伊藤 晋平アナウンサー 取材リポート

2012年オープン。開店10年を迎えるお弁当屋さんです。
東日本大震災後に山元町に移住した菊地さん。栄養士の免許を
活かして復興工事に携わる人達に弁当を届け続けてきました。
「心を込めたお弁当」を「人と人とのつながり」を大切に作り
続けてきた菊地さん。そのこだわりの詰まった手づくり弁当は
反響を呼び、工事関係者や地元のイベント等多くの注文をいた
だいてきました。しかし、復興工事が収束を迎え、加えて、新
型コロナウイルスの感染拡大は菊地さんのこれからの商売のあ
り方について、大きな影響を与え続けます。「店を存続させる
べきか」…悩み続けた末に菊地さんが下した決断。それは「続
けていく」。その思いとは?今でも買いに来てくれるお客さん
とのつながりを大切にしたい。そして、買い物で不便を覚える
人を出したくない。人とのめぐり合い、縁を大切にやれるとこ
ろまでやっていく。町の中での存在は「その他1」謙虚な気持
ちと決意を胸に「きく邑」をこれからも続けていきたいという
ことです。

石巻市 3.11みらいサポート 福田 貴史さん
守屋 周アナウンサー 取材リポート

東日本大震災発災時は高校生。埼玉県に住んでいて、震災の経
験はなく、復興の様子も見ることが出来ていない福田さんが石
巻に移り住み、今、視察に訪れる人達の案内役を行っています。
大学進学後、インターンで宮城を訪れ、石巻を好きになった福
田さん。そして、みらいサポートに就職。被災した方々から伺
った話や避難行動を可視化、映像化したものをタブレットを活
用しながら説明していく。震災経験のない福田さんがまるでつ
ぶさに見てきたかのように話をしていく。なぜ、可能なのか?
昔の思い出話は楽しいことが多く、土地の成り立ちを含めて皆
に知ってもらいたいと思ったから。つまり「いろいろな人の話
を聞いて学ぶ」ことに徹したことがガイドを可能にしてくれた
のです。加えて、他のガイドの説明にも耳を傾け、改善点など
も話し合いながら話し方を編み出してきました。ガイドを聞い
て、家に帰り、家族で避難方法や被災時の行動について相談す
るなど、防災への意識を高める活動をこれからも続けていけれ
ばと話してくれました。