Archive for 2022年8月29日

8月22日(月)放送分

石巻市 一般社団法人イシノマキファーム 代表理事 高橋由佳さん
伊藤晋平アナウンサー 取材リポート

先月7月18日に、石巻市中心部にあった映画館、日活パール劇場に整備した醸造所で手掛けたクラフトビールが完成し、お披露目イベントが行われた。
2016年8月に設立されたイシノマキファームでは、2017年からビールの原料となるホップの栽培を始めた。ビールの生産は岩手県の会社に委託してきたが、自前の醸造所が完成しビールの生産ができるようになった。
震災で耕作放棄地となった土地をグリーンカーテンにし、活性化を図りたいという思いから始まったホップ栽培。ホップといえばビール、とのことでビールを生産。震災でエールをもらい、今度は新しい風を巻き起こしてエールを送りたい、という気持ちを込め「巻風エール」と名付けた。
2021年の年明け、石巻市の中心地にあった映画館「日活パール劇場」が売られていると聞いた。見学した際、「解体するかも」と聞いた高橋さんは、古き良きものを継承していくのも大切なまちづくりだと思い、建物の購入を決意。栽培したホップを自分たちの手でビールにする拠点を作った。クラフトビールは若い人向けかと思っていたが、実際に販売を始めると高齢の方からの反応も多かった。
そして今回、農地と醸造所が近くなったことにより、フレッシュホップが醸造できるようになった。
今後は震災で閑散としてしまった場所に明かりを灯し、様々な方が訪ねてくれるような場所にしたい、ハブ拠点として交流できるまちづくりに寄与したいと語った。

8月8日(月)放送分

山元子どもミュージカル SENKOKUタイムスリップ
伊藤若奈ディレクター 取材リポート

先週に引き続き、7月24日(日)に上演された山元町坂元のふるさとおもだか館で第1回山元子どもミュージカル「SENKOKUタイムスリップ」の取材レポート。
今回は脚本を担当した小坂照美さんと、同じく脚本と演出を担当した佐々木久美子さんにインタビュー。脚本の前半部分を担当した小坂さんは今回初めて台本を書いた。子どもたちにアンケートをとり、単語をひとつでも拾いたいと、台本に組み込んでいった。脚本の前半には山元町で語り継がれる民話が描かれている。これは、山元町には民話がたくさんあるが、後継者がいない。民話を伝えていきたいという、小坂さんの思いからだ。せんこくんを登場させたのも小坂さんのアイデア。ミュージカルを通して、小さな家族から世界へ幸せが広がっていくのではないかと伝えたかったと語る。
主人公がタイムスリップをした後の部分の脚本と演出を担当したのが佐々木久美子さん。震災当時、山元町でヨガ講師をしていた佐々木さん。その教室に小坂さんもいた。今回ミュージカルを立ち上げるということでオファーがあった。第2の故郷のように大好きな山元町に恩返しをしたいと思っていた佐々木さんは快諾。争いがいつまでも終わらない中で、どうして戦争が起きるのか、どうしたらやめさせることできるのか。平和は家庭の中から生まれていくと考える佐々木さん。子どもたちが世界をつくっていく、おいしいものを一緒に食べるなどのシンプルなことが世界平和の礎だというメッセージを込め、脚本を仕上げた。演技指導では、子どもたちはとても正直で、気分がのっているとき、そうでないときがあり、難しさがあったそう。いかにして子どものいい顔、楽しさ、輝きを引き出せるのかを毎回考えながら指導。アドバイスを汲み取って、練習を積み重ねた子どもたち。本番を終えた佐々木さんは、子どもたちの歌声、笑顔、ダンスからパワーをもらって帰ってもらえたのではと語った。

8月1日(月)放送分

山元子どもミュージカル SENKOKUタイムスリップ
伊藤若奈ディレクター 取材リポート

東日本大震災で被災した山元町に元気と笑顔を届けようと、7月24日(日)に山元町坂元のふるさとおもだか館で第1回山元子どもミュージカル「SENKOKU」タイムスリップが上演された。出演は町内の幼稚園児と小学生14人とその親御様たち。今年4月から週1回のペースで集まり、歌やダンスの稽古に励んできた。主催は出演している子どもたちの保護者でつくる「やまもと楽しみ隊」。2017年度から実施された町子どもミュージカルプロジェクトを継承する活動として、去年の10月から演劇経験のない人たちで手探りで始めた。脚本もメンバーが手掛け、子どもたちのアイデアも盛り込まれている。
「SENKOKUタイムスリップ」は2015年に東日本大震災の集団移転先の山元町高瀬の合戦原遺跡から出土した線刻壁画に描かれていた人をモチーフにした町の歴史民俗資料館の公式キャラクター「せんこくん」と、山元町の子どもたちと、町の鳥ツバメが、現代からせんこくんの生きていた1400年前にタイムスリップして故郷の歴史を知り、争いを解決するというあらすじだ。
当日の観客は120人。出演した子どもたちは「みんなに笑顔になってほしい」という思いを抱いていた。
座長の小学5年生の菊池舞花さんは東日本大震災から1か月後に産まれた。町のボランティアや、ひとりでも多くの人を笑顔にしたいと5年前からミュージカルに参加している。
主催の「やまもと楽しみ隊」の高橋知美さんは、震災からしばらく経ち、気持ちが抜けた時に出会ったのがミュージカルだったそう。元気づけられた思いを、周りに伝えたいと活動している。
来週は「SENKOKUタイムスリップ」の脚本、演出を担当した方のインタビューをお届け。