Archive for 2020年2月17日

2月17日(月)放送

災害とメディア研究会 福島県双葉町取材リポート
増子華子アナウンサー取材リポート

今月5日、6日に行われたみやぎ「災害とメディア」研究会の視察に参加した増子アナウンサー。宮城県内報道関係者が約30人が参加し、福島県の双葉町・宮城県の山元町を視察しました。福島県双葉町は、いまだ東京電力福島第一原発に伴い帰還困難区域となっていて双葉町はいまも全町避難が続いています。一部は来月4日に避難指示解除となる予定で居住再開は2022年の春ごろを目標にしています。
今回双葉町役場を秘書広報課の大住宗重さんが案内してくれたのですが、当時の避難の呼びかけの様子や津波が到達するまでの間の様子、そして屋内退避の当日の様子を振り返りました。当時の混乱した様子は話だけでなく、避難指示で3月12日の夕方に閉鎖されて以降のあわただしさがメモなどに残っていたため、時間が止まったままの空間を見ることができました。
また、原発から3kmの双葉南小学校も見学、当時学校に戻れなかった子供たちのランドセルなどがそっくり残っていて、9年前の光景はついさっきのことなのかわからなくなってしまう印象・・・。宮城県で見た津波で「色がない」校舎とは対照的だとな、感じました。当時5年生だった児童は今年成人式を迎えたことを考えると、双葉町での時間の経過は長かったはずなのに時計の針が止まったままであることも印象的でした。
双葉町は、いわき市に役場機能を移していますが、新しい役場は双葉駅のそばに作られる予定となっています。スタートラインにこれから立つ双葉町民の方々が、故郷に戻る環境が少しでも早く整うことを祈るばかりです。

東日本大震災追悼バレエ公演「いのち」/東京・シティバレエ団所属 浅井水希さん
後藤舜アナウンサー取材リポート

岩手県の陸前高田の「奇跡の一本松」を題材にした作品を手掛ける東京・シティバレエ団所属のバレエダンサー、浅井水希さんを取材しました。
震災前日の10日に宮城を訪れ、翌日は東京で東日本大震災に遭遇した浅井さんは、震災の津波で壊滅的な被害を受けた陸前高田町の防潮林「奇跡の一本松」がなぜ1本だけ残ったのか、その意味を考え、実際に足を運んだその場所で「温かみ」を感じたそうです。その時に聞こえてきた会話や見えた光景が印象的だったからかもしれません。
そして、生きている人達と震災で命を失った方の「魂」があるこの場所を題材に、来月仙台市内でセリフを伴わない舞台舞踊の公演を行います。既に東京では3回公演されていて、実際に公演を見てから陸前高田町に足を運んだ観客もいたそうです。本番まであと残り1か月を切りました。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

・東日本大震災追悼バレエ公演「いのち」
日時:3月7日(土)、8日(日) 1日2回公演
場所:仙台市若林区 「能BOX」
問い合わせ:DOAチケットオフィス

2月10日(月)放送

栗原市 劇団3カ年計画なかじょうのぶさん
藤沢智子アナウンサー取材リポート

今夜は栗原市を拠点に演劇活動を続けているなかじょうのぶさんのインタビューをお送りします。
今週末、仙台市若林区で行われる「仙台舞台芸術フォーラム」ですが、東日本大震災をテーマにした演劇に焦点を当てたもので、劇作家が震災から今に至る時間で、どのように表現と向きあってきたのかを考えるものです。演劇「はなして」(作・演出 生田恵)、ドラマリーディング「徒然だ」(作・演出 なかじょうのぶ)、ドラマリーディング「壊れる水」(作・演出 長谷川孝治)が上演されます。

なかじょうのぶさんは、2011年の旗揚げ公演リハーサル中(:一迫)に東日本大震災に遭遇しました。劇団員の中には家が倒壊した人、家に帰れなくなってしまった人など多くいたため、身を寄せ合って数日間過ごしたそうです。旗揚げ公演目前での震災…。活動はいったん中止となりその後学校(避難所)での朗読・読み聞かせなどを通して子どもたちと接することもありました。
当時書いていたメモには、言葉と言葉の行間に思いがたくさん詰まっているものが多い、となかじょうさんは振り返ります。また、子どもたちへの「道徳」も時間軸の変化で本当に正しかったのか、今になって深く考えることがあったそうです。そんな思いを綴る、東日本大震災をテーマにした演劇に焦点を当てた「仙台舞台芸術フォーラム」は、2月15日、16日にせんだい演劇工房10-BOXで開催されます。震災と向き合いながら創作活動を続けて生まれた作品を是非会場でお楽しみください。

「仙台舞台芸術フォーラム」
2月15日(土)、16日(日)2日間 午後2時開演、午後5時からトークセッション
チケット:全席自由1500円、電話予約可。
     せんだい演劇工房10-BOX、藤崎、仙台三越で発売中。
連絡先:仙台市市民文化事業団総務課 022-727-1875

2月3日(月)放送

「たき火と薪小屋づくり」荒浜のめぐみキッチン
長南ディレクター取材リポート

以前、番組では直径16Ⅿの丸い田んぼを舞台に「賢治と焚き火と丸い田んぼ」という朗読イベントを紹介しましたが、きょうは再び仙台市若林区を訪れ「荒浜のめぐみキッチン」のメンバーが行う「荒浜を歩く」を取材してきました。
参加者はメンバーと市民あわせて10人程度で、未だ地盤整備が続く荒浜の街を歩きます。最初に向かったのは、自宅を津波で流された貴田慎二さんが所有する土地で、跡地に残った住宅の基地を活かし、カルベ・ディエム・パークというローラースケート場を震災の翌年の11月から営んでいます。「震災があったことはいずれわからなくなる」・・・。この考えを払拭したいと思って、「覚えていられる場所」として住宅基盤を利用した場を残したそうです。
その後は、長年荒浜に住んで漁業を営んできた佐藤優子さんの作業小屋「よしおさんの番屋」へ向かいます、倉庫は全部流されてしまいましたが優子さんとおじいさんの思い出の場所でもあります。幼少の頃に上がった鯨の話や、松林のなみこ(なめたけ)採りの話などの話を語ってくれました。自然と共生し、その恵みに感謝して日々の生活を送ってきた荒浜の姿に触れることができました。
その後「海辺の図書館」まで歩き【荒浜】に伝わる生活を感じられる土地で、その土地に住んでいた人たちから直接話を聞きながらあるくことで、その土地を深く思い出とともに知ることができました。未だこの地に足を運べない元住民の方々のため、震災遺構となった荒浜小学校を除くと未だ目立った建物がない仙台市若林区の荒浜にも、人々の思いが生きていることに気が付かされた「荒浜を歩く」・・・。今後も荒浜の良さをメンバーはしっかり語り続けていきたいと話してくれました。
今後、2/9(日)からはいよいよ薪小屋作りが始まります。今後も荒浜のめぐみキッチンでは「たき火」を囲みその魅力を楽しむ予定となっています。
参加したい方は、こちらからお問い合わせください。