Archive for 2021年11月22日

11月22日(月)放送分

栗原市栗駒「ホープフルピッグ」代表 高橋 希望さん
鎧坂 文菜アナウンサー 取材リポート

栗原市で養豚業を営む高橋さんは両親が以前名取市で養豚業を行って
いましたが、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けました。当時、
高橋さんは東京で仕事をしていましたが、発災後は東北に物資を送る
ボランティア活動に勤しんでいました。その最中、津波に流されてし
まったと思っていた2000頭の豚のうち5頭が生きて見つかるとい
う奇跡が起きました。つながった命を奪う訳にはいかない。高橋さん
の母が牧場仲間のいる東京・八王子の農場を間借りし「有難豚」と名
付けて大切に育てていました。
ところで、養豚業は決して儲かる仕事ではありません。高橋さんは経
費を抑え、かつ豚にストレスを与えず、育てる方法に取り組むことで
従来の形にとらわれない復興の在り方を模索していきます。こうした
中、国連が定めるSDGsの考え方に基づいた「アニマルウェルフェ
ア」の実践に取り組み始めます。八王子から宮城県に戻ってきたのは
去年の5月。震災から9年が経っていました。これまでは「繁殖」
「生育」「運搬」「加工」の作業が別々になっている畜産のスタイル
を誕生から1頭1頭トレースする形を作り上げていきます。東京の大
学生と繋がりながら「食べ物」の価値を知る営みにも取り組んでいま
す。人間は大切な命をいただきながら生きている。であれば、人間の
意識で無駄を作り出すことを止める。動物を動物らしく育てること、
それは生産者と消費者の相互理解に繋がっていくと高橋さんは考えて
います。新たな養豚のスタイルを追い求める挑戦が続きます。

11月15日(月)放送分

石巻市北上町十三浜吉浜出身 立身 憲一さん
伊藤 若奈ディレクター 取材レポート

20代で網膜色素変性症を患い、50代で光を失った立身さんの
東日本大震災発災からこれまで、そしてこれからについてお話を
伺いました。自宅で被災後、社会福祉協議会の職員さんとともに
北上中学校に避難。吉浜地区にあった家の殆ど全壊の被害を受け
ました。目の見えない方にとって住まいや周囲の環境の変化は、
より大きな不安を持つことが想像されます。そんな中立身さんは
避難所でもどかしい思いをしていたと話します。何か人の役に立
ちたいのに何も出来ない…そんな思いを抱えながら時は過ぎ県外
への避難をせざるを得ない状況が立身さんに巡ってきます。石巻
を離れ、横浜、仙台へと転々と移動。5年前に石巻に戻り、親戚
と共に生活再建の道を歩み始めます。しかし故郷・北上町十三浜
吉浜に住むことは叶いませんでした。
今、立身さんは目が不自由な方々がコミュニケーションを深め、
社会に役立っていく為の様々な活動を率先して行っています。
自宅でマッサージの仕事をしながら、仲間と畑での作業に汗を流
し、読み終わった点字雑誌を封筒に加工し再利用につなげるなど、
目の不自由さをものともせず、周りの人達を引っ張っています。
最近では目の不自由な子供達との交流を深める活動を始めていま
す。「子供は可愛く孫を持った感じ」という喜びを噛みしめてい
ます。同じハンディのある自分だからこそこれからの人生をこう
した子供達の成長に力を注いでいきたいと決意を語る立身さん。
そして、周りには明るさに惹かれて集まる多くの方々がいます。

11月8日(月)放送分

仙台市若林区卸町 アゾット 相澤 謙市さん
小野寺 穂実ディレクター 取材リポート

創業10年目の商談中に東日本大震災で被災した相澤さん。工場は全壊。
繁忙期をどう乗り切ろうか…思い悩む中、助けてくれたのは地震の影響が
ない関西地方の同業者でした。そして、京都の工場を拠点に福井、岐阜の
同業者が手を差し伸べてくれ、製造を再開させます。その間、相澤さんは
仙台に戻り、2011年7月には宮城野区扇町で再スタートに漕ぎつけた
ものの、その後台風に襲われ、再び被害を受けてしまいます。心が折れた
と話す相澤さん。しかし、災害をピンチと捉えるのではなく、その後必ず
チャンスは訪れると信じ、前に進んでいきました。
相澤さんには依然から取り組んでいるボランティアがあります。DVから
逃れて暮らす子供たちとの支援。共に過ごす時間を通して子供たちの視点
は常に客観的であり、経営者として大切な「いろいろな角度から先のこと
を考える」、客観的な視点を持ち続けることの大切さを認識させてもらっ
ていると話します。災害に対する捉え方もこの客観的視点で見れば、前に
進んでいくヒントを見つけることが出来るのではないか…この視点が相澤
さんと社員の皆さんの前に進む大きな力となり続けています。

11月1日(月)放送分

大崎市三本木上伊場野 FKDファーム 福田 翔太さん
長南 昭弘ディレクター 取材リポート

上伊場野地区で古くから作られている伝統野菜「伊場野芋」。
300年前から代々生産を受け継いでいる福田翔太さんを
訪ねました。社会人となり、5年の約束で故郷を離れ、仕事を
しながらスキーを楽しんでいた福田さん。しかし東日本大震災
の発災は福田さんの人生を大きく変えるきっかけとなります。
実家に被害あり、ラジオやテレビから流れてくる情報にショッ
クを受けたそうです。同級生の安否もわからず、諦めの気持ち
が湧いたと言います。しかし、友人の就農の想いを聞き、自ら
も就農することを決意。2014年故郷に戻ります。
上伊場野の土壌のみが育てることが出来る「上伊場野里芋」。
カマンベールチーズのような滑らかな舌触りは他の里芋で感じ
る繊維質の触感は皆無とのこと。今月半ばまで道の駅三本木で
販売中です。将来は産直を実施していきたいと話す福田さん。
これからも地域を豊かに元気にしていく為に畑で汗を流してい
きたいと話してくれました。

女川町 おながわ未来創造 阿部 真知子さん
電話インタビュー

海の生き物をイメージした遊具を設置したマッシュパーク女川
が8月19日にオープン。町の内外から多くの子供たちが訪れ
楽しんでいます。近くのシーパルピア女川にも親子連れの来訪
が目立つようになったそうです。
そして、昨年は不良だった「サンマ」ですが、水揚げはあまり
多くないそうです。しかしながら町の元気を失う訳にはいきま
せん。阿部さんはSNSを活用して水揚げ情報を発信。今月4
日にも水揚げの予定があるそうで、町の元気の象徴としてのサ
ンマの水揚げが期待されます。
新型コロナの影響でイベントは小規模なものが中心ですが運営
での工夫を続けながら、元気な女川を作り続けていきたいと
話してくれました。