11月6日(月)放送分

国境なき劇団 野々下孝さん
大久保悠アナウンサー 取材リポート

演劇を通して震災から復興支援や演劇人同士の繋がり作りに取り組む、仙台シアターラボ主宰の野々下孝さんにインタビュー。野々下さんは大学入学後に演劇に出会い、卒業後も演劇に取り組み、2010年に仙台シアターラボを旗揚げ。2011年7月の劇団旗揚げ公演に向けて劇団のメンバーとけいこを重ねていたときに、東日本大震災が発生した。震災発生から15日後、野々下さんをはじめとする仙台市内の演劇人が劇団の枠を超えて集まり、支援に向けて動き出した。阪神淡路大震災を経験した関西の劇団のメンバーから阪神淡路大震災からどのような支援活動を演劇の分野でしてきたか、これまでの経験談などを聞き、参考にしながらできたのが、仙台の演劇人同士で生まれた団体が「ARCT(アルクト)」だ。現在は20人ほどのメンバーが所属している。被災でストレスを抱えているこどもたちと関わりながら、見守ってきた野々下さん。2018年には、演劇人同士の繋がりや支援の輪を繋ぐ取り組み、「国境なき劇団」という全国的な団体が誕生した。その中で、「四十七士プロジェクト」を立ち上げ、47都道府県にネットワークを広げ、次に起こりうる災害に備える事前復興に取り組んでいる。
演劇で身につけたコミュニケーション能力で、保護者や先生とはまた別の大人としてこどもを見守り続けている野々下さん。今後は発災時、復興支援についての話を聴く会を継続して行いたいと語る。

10月30日(月)放送分

仙台市若林区荒浜 今野不動産 社長 今野幸輝さん
玉置佑規アナウンサー 取材リポート

10月14日、仙台市若林区荒浜の深沼地区に交流拠点施設「深沼うみのひろば」がオープンした。「深沼うみのひろば」の管理・運営する今野不動産の今野幸輝さんにインタビュー。深沼地区は東日本大震災発生後、瓦礫があふれて道がなくなり、建物も崩れ、見るも無残な姿だったそう。ライフラインがすべて止まってしまったとき、地震や津波が発生しとき、どのような行動をとればいいのか、子どもも大人も忘れないように伝えていきたいという想いから「深沼うみのひろば」をつくった。ここではアウトドアやイベントが楽しめ、防災・減災についても学ぶことができる。カフェや野球・サッカー・フットサルができるように室内練習場をつくった。昔の賑わいを取り戻したいと、今後はBBQができるように、海水浴場を開けないかと計画中だと語る。

東北大学災害科学国際研究所 教授 今村文彦さん
根本宣彦アナウンサー 取材リポート

10月9日、伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震があり、太平洋側の広い範囲で津波注意報を発表された。震度1以上の有感地震がない中で津波が発生したことについて、なぜ注意報レベルの津波が発生したのかはまだ解明できていないそう。揺れはないが津波注意報が発令された場合は、スマホや防災無線で情報を入手し、海岸から離れて高台などの安全な場所に移動してほしいと今村教授は話す。

10月23日(月)放送分

石巻市北上町 橋本恵司さん
守屋周アナウンサー 電話インタビュー

橋本恵司さんが「東日本大震災と子どものミライ」を著した。橋本さんは震災発生時、石巻の教育事務所に勤めており、翌月4月1日から旧相川小学校に勤め始めた。石巻市北上町には相川小学校、吉浜小学校、橋浦小学校があり、それぞれの学校で児童が犠牲となった。発災後は校舎の被災を免れた橋浦小学校で3校合同で授業を開始した。2012年春、1年後の3校の閉校と統合が決定。最後の1年は、それぞれの学校の教育活動を進めることに決まった。3校が統合し北上小学校となり、橋本さんが校長となった。
不安な学校生活の中、悩みながらも運動会を実施したところ、子どもたちの元気な姿で、大人が力をもらったという声をきき、開催してよかったと振り返る。

本には、震災後の授業の様子、児童たちの取り組み、教育実践の記録などが記されている。「東日本大震災と子どものミライ」(春風社)は石巻市と女川町の書店で扱っています。

10月16日(月)放送分

女川みらい創造 阿部真知子さん
藤沢智子アナウンサー 電話インタビュー

女川みらい創造に勤め、女川水産業体験館あがいんステーションを担当している阿部真知子さんに女川町の様子についてインタビュー。
7月30日に開催された「おながわみなと祭り」には18,000人来場し、盛況となった女川町。お中元の注文も多く、来客も感染症流行前の1.5倍になった。
そして今年1月から女川町の離島・出島と本土を結ぶ出島架橋の組み立て工事が始まった。島内の産業、生活、教育、医療及び有事の際の防災道路を担う「命の道」となる。まもなく橋のアーチ部分を移動させる船が入る。来年2024年12月に完成予定。
今月29日(日)には女川町海岸広場で秋の味覚が大集合する「おながわ秋の収穫祭2023」を開催。阿部さんも絶賛する秋刀魚の炭火焼き、秋刀魚すり身汁などおいしい食べ物が食べられる。
盛り上がっている女川町だが、今後さらに盛り上げる地域おこし協力隊を募集中。募集期間は今年12月まで。詳しくは女川町ホームページをご覧ください。

9月11日(月)放送分

福島県相馬市 漁師 菊地栄達さん
坂寄直希アナウンサー 電話インタビュー

8月24日に東京電力福島第一原子力発電所の敷地内でたまった処理水の海洋放出が開始となった。福島県相馬市の底引き網船の船長で30歳の菊地栄達さんに、処理水の海洋放出について話をうかがった。
福島県沖でとれた魚は「常磐もの」と呼ばれ、震災前からブランドとして高く評価されてきた。インタビューした日は、自然保護のために7月と8月に設けられている底引き網漁の禁漁期間が明けて初めての漁の日であり、処理水の海洋放出後初めての漁の日だった。値段は以前とそれほど変わらず、国内的な影響はあまりないそう。ただ、中国の輸入規制などの影響か、ナマコなどは値段が下がるなどの影響があるとのこと。菊地さんは、風評被害などによって福島県産の魚介類の買い控えが生じる恐れがあると話す。値段を下げれば買ってもらえるかもしれないが、ブランド価値の低下や処理水関連のイメージがついてしまうのではという懸念している。また、常磐もののブランド価値が下がってしまうと、漁業者のなり手不足にも影響をもたらすのではないかと話した。

東北学院大学地域総合学部政策デザイン学科 准教授 定池祐季さん
根本宣彦アナウンサー 電話インタビュー

最大震度7を観測し、44人が犠牲となった北海道胆振東部地震の発生から5年。発災から5年が経ち、被災地の現在の状況や課題について北海道厚真町の津波防災計画協議会会長で防災アドバイザーも務める東北学院大学地域総合学部政策デザイン学科准教授の定池祐季さんに話をうかがった。
現在、インフラの復旧はほぼ終わりが見えてきている段階で、厚真町の土砂災害があった地域で人が住んでいるエリアについては工事の終わりが見えている状況とのこと。厚真町では、仮設住宅に入った方などを中心に支援体制を組み、保健士と社会福祉協議会に配置された生活支援相談員が仮設住宅などを訪問して、困りごとを聞き取る活動をした。その困りごとを担当者に伝え、手厚いサポートをしていきた。最近では、再建された集会所でマルシェが開かれ、新たに主体的な住民活動がみられるようになった。コロナ禍で交流できない日々が続いていたため、再会を喜ぶ姿がみられた。
厚真町ではヒマワリが町中に咲いている。これは石巻でボランティアをしていた北海道の方が2019年に持ち帰ってきたヒマワリの種を住民皆で育てたものだ。被災地と被災地の繋がりはさらに広がり、今月22日には厚真町主催で「復興まちづくりサミット2023」が開催される。熊本地震、新潟県中越地震の被災地、岩手宮城内陸地震と東日本大震災を経験した栗原市の方々を招いて、胆振東部3町の皆さんが震度7を経験した地域、先輩について学ぶというもの。定池さんは今後も町の方々と歩みをともにして、町の復興、これからのまちづくりも一緒に見ていきたいと話す。