Archive for レポート

1月11日(月)放送

女川町 スペインタイルの店 セラミカ工房 阿部鳴美さん
リポート:林朝子アナウンサーリポート

12月23日(水)に女川駅前の新しいプロムナード商店街「シーパルピア女川」のまちびらきが行われました。異国情緒あふれるあふれる商店街は、木造平屋でカフェや青果店など27店舗が軒を連ねます。ここに「きぼうのかね商店街」から「スペインタイルの店 セラミカ工房」が移設しオープンしました。
 同じリアス式海岸で、津波から復興した経験のあるスペインのガリシア地方と女川町は異文化交流があり、縁が重なって阿部さんはスペインタイル陶芸店を事業として始める事になりました。「何もなくなってしまった女川町をスペインタイルで装飾できたら…」と。色あせないタイルが復興の証になるよう、今後も経営に工夫を加えながら継続していきたいと思いを話して下さいました。軽井沢のような可愛らしいカラフルな街「シーパルピア女川」とともにスタートを切った阿部さん。「ここに昔何があったか分かる街にしていきたい、記憶をスペインタイルで表現できたらいいな」と夢を話して下さいました。

石巻市 立町復興商店街 パン屋パオ 谷地田恵子さん
リポート:藤沢智子アナウンサー取材リポート

 各地の復興商店街が閉鎖の期限を迎えつつある中、石巻市立町にある復興商店街が、来年10月いっぱいまで延長になりました。
市へ提出した要望書が認められ10か月延長になったのです。
 延長になったことは谷地田さんはもちろん、復興商店街に足を運んでくれるお客様たちにとっても喜ばしい出来事。現在街の復興が遅れている中での延長ですが常連さんも自分の事のように嬉しがってくれたそうです。
 そんな谷地田さんですが、経営に不安がないわけではありません。それは石巻市の復興が遅れていて人が少なく、観光で街歩きをしている人もいない状況が続いているからです。県外からのお客さんには「大型駐車場もなく、中心部にふらっと立ち寄るコーヒーショップ等の休憩場所もないから」だと指摘されたこともありました。しかし谷地田さんには「大きな夢」があります。街に絵手紙やつるし雛などが飾れるお店、場所づくりをするという夢です。その夢がかなうよう今年も元気に熱い思いを持っていきたいと話してくれました。

 

12月21日(月)放送

女川町 旧女川第四中学校生徒教師10年ぶりの再会
阿部一彦先生(元教師)
リポート:石澤ディレクター取材リポート

三陸海岸、牡鹿半島五部浦湾。この静かな湾に面した地にかつての女川町立女川第四中学校がありました。その中学校は2010年、過疎化の影響で閉校。その翌年東日本大震災が発生し卒業生の思い出が詰まった校舎は津波に飲み込まれました。
 先月14日、女川町野々浜の学校跡地で教師と卒業生が再会しました。かすかな記憶をたどり、10年前のタイムカプセル「自分宛の10年前の手紙」を掘り起こします。母校の廃校と震災…10年という歳月をそれぞれに噛みしめました。
 場所を替え、それぞれ掘り出した自分宛の手紙を読む教え子。その姿を目の当たりにし、当時の主任だった阿部一彦先生は教え子を前に特別な思いを募らせます…
 それぞれの道を進む卒業生。タイムカプセルをあける事でよみがえった絆と故郷・女川への思いは色あせる事はありません。

塩釜市 やま登 畑中眞由美さん
「再起 海鮮食堂やま登、12月10日オープン」
リポート:伊藤晋平アナウンサーリポート

 塩釜市で食堂を営んでいた畑中さんは、「海鮮食堂やま登」を震災前、元の場所でお店を再建し12/10オープンすることができました。震災後は、仮設商店街から塩釜マリンゲートで営業を続けていましたが、営業期間を経て、今回いよいよ元の場所に戻ることになりました。新しく再建したお店でも震災前にあったテーブルをずっと使い続けています。畑中さんは再オープンについて「やるしかない」と何度も繰り返し話していました。支えてくれる人のためにも…
 そして新たにもう一人強力な仲間がやま登に加わりました。20歳の息子、一行さんです。畑中さん自身は「生涯現役」と言っていますが、頼れる息子がいるだけで心強い存在。ふたりで新しい「海鮮食堂やま登」を築いていきます。

■「海鮮食堂やま登」
塩竈市杉の入4-3-17

<お知らせ>
来週12月28日(月)放送の3.11みやぎホットラインは、震災4年目の「被災地宮城の動き」をダイジェストでお送りします。
また、新年1月4日(月)の番組はお休みします。

12月14日(月)放送

石巻市 仮設住宅南境第7団地 大内 勝さん
「いま、そして今後」
リポート:林 智子アナウンサー

震災から4年9カ月、県内の「プレハブ住宅」は1万1,000戸あまり、お住まいの方は2万5,626人です。大内さんは震災時働いていた水産加工団地で被災、家族は全員無事でしたが自宅が流され、2部屋にキッチン・バス・トイレの間取りの仮設住宅に移りました。現在奥様と2人暮らしです。現在お住まいの南境団地、かつては500世帯が暮らす県内最大規模の仮設住宅でしたが、今入居しているのは約半分だと言います。
 今後別の仮設住宅から人が移ってくるかもしれない、集約されるかもしれないという話もあり、現在住宅の一斉点検が行われています。そこで懸念されるのがコミュニティの再編です。震災後すぐの様に1からスタートするということを考えると心配だという大内さん。大内さん自身は、災害公営住宅の抽選に落ち続けていて今後の生活にも不安がありますが、宮城県内に仮設住宅がなくなるまで今後も「仮設住宅の世話役」を努める事となりそうです。
 来年還暦を迎える大内さんの今の楽しみは中学校の同窓会。色々ありますがそうした楽しみがあるのも、「あの時生きた証」と話してくれました。

亘理町の農業の今 JAみやぎ亘理 総務部 中山さん
リポート:藤沢智子アナウンサー

 亘理の農業といえばいちご。町のいちご団地も整備され収穫量も戻ってきているようですが、実際畑はまだ地下水の塩分が抜けず、水耕栽培を続けています。
 水田も、1800ha分は国の補助事業として9割が復旧する見込みとなっています。担い手も増え、個人・集団で面積を大きく稲作作りをやっていこうと前向きの状況です。
 さらに沿岸部のいちごの畑だったところは、路地野菜を作る法人事業をJAが手助けし、新たに農業法人として発足。今年は玉ねぎの収穫を増やしたということです。もともと亘理町では野菜を作るということはあまりなかったのですが、技術提供や指導により新たな農業を亘理町から発信していこうとみなさん、力を合わせて頑張っています。
 メンバーは地元で被災し農業を離れた方や、いったん農業をあきらめた方、新たに農業を始める若者まで幅広い年齢で構成され、亘理独自の農業をはじめようという活気にあふれています。
 今後は仙台市場のみならず全国の市場へ売り出していくということです。今後亘理町の名前が入っている野菜を見つけるのが楽しみになりそうですね。

12月7日(月)放送

・岩沼市「交流サロン グリーンリーフ」岡崎 信さん
リポート:伊藤晋平アナウンサー

 2015年11月8日(日)、岩沼市にオープンした交流サロン「グリーンリーフ」の岡崎信さん。来月で70歳になる岡崎さんが立ち上げたサロンは、海岸からおよそ2キロの道路沿いのプレハブ小屋にあります。元々岡崎さんがやっていた市民農園「楽農村」の畑が広がり、隣にはサロンと野菜の直売所があり、施設は回廊状のウッドデッキでつながっています。
 震災で、岡崎さんがキュウリを作っていた鉄骨ハウスは被害に逢い、そのスペースを震災後「市民農園・交流サロン」として活用されています。運営については、被災時に避難所で若い方が率先して手伝ってくれたり、避難所で知らない人同士が助け合ったことなど、震災で人とのつながりを強く感じ決断した、と言います。
 交流サロンを訪れる方々はボランティア、親子連れ、外国人、仙台近郊の方々など様々。心優しい、人の痛みが分かる岡崎さんが「人」を呼ぶようです。
 この岩沼市の交流サロン事業は、多くの方々に利用されています。みなさんも是非のぞいてみてはいかがでしょうか。

・亘理町「わたり温泉鳥の海」佐藤仁志さん
リポート:林田悟志アナウンサー

 東日本大震災の影響で休止していた「わたり温泉鳥の海」は、2015年10月13日から12月13日の期間限定でレストランの営業を再開しました。およそ4年ぶりの再開となります。この期間は、営業を待ち望んでいた皆さんで周辺道路が渋滞する位大反響でした。なんといっても、亘理荒浜のはらこ飯は江戸時代から伊達政宗公に献上して非常に美味しいと評価をもらい、根付いた郷土料理。レストラン「四季の風味」で提供するメニューは「はらこ飯とあら汁セット」(1,000円)。多い時には300食もでる程です。
 今後は、コスト面とメニュー内容を吟味して新たな試みを行っていく予定とのこと。期間限定期間はあと1週間!是非立ち寄ってみて下さい。

 

11月9日(月)放送分

・南三陸ネイチャーセンター友の会 事務局長 藤田 岳さん
リポート:伊藤晋平アナウンサー

 埼玉県出身の藤田岳さんは、震災後に南三陸に移住してきました。南三陸の自然に惚れ込んでの移住です。この街をどうこうしたい、という理由ではありませんでした。
 被災した南三陸ネイチャーセンターを再建するために始めた「友の会」はもともとは市民活動の一つでしたが、現在はNPO団体として活動しています。
 自然豊かな南三陸町には「里の風景」があるのにもかかわらず外遊びをしない子供たちが多いことに気がついた藤田さん。「自然と遊ばないなんてもったいない!!」と町内の子どもたちといっしょに自然に親しむ「自然の相談室」、自然で遊ぶきっかけづくりを現在行っています。
 震災後「海が怖くて行けない」という子はいなく、震災がきっかけで外出をしないということはないということが判明しました。この活動を通じて、大人たちが街の復興には「自然との共存」も必要だと気が付いてきたといいます。南三陸の地域の魅力を大人の方も再認識し始めたことが大きな収穫だと話します。
 これからの未来、自分達の子どもたちが育つであろう南三陸の地で、自然の魅力を感じ共存しながら生きる大切さを今後も育んでいきたいと話してくれました。

・塩竈千賀の浦市場 共栄丸水産 水間正夫さん
リポート:飯野雅人アナウンサー

 今月11月5日に塩竈市に水産物直売所「しおがま千賀の浦市場」がオープンしました。マリンゲート塩竈隣の今年5月に閉鎖した「塩竈みなと復興市場」でともに仮設店舗で復興を誓いあった4店舗が入った施設です。
 店舗オープン初日は、水間さんの心のように晴れ渡り、雲ひとつない良い天候に恵まれました。
 この市場の再開までには全国から復興支援に訪れた人々たちとの出会いが励みになったと水間さんは話します。中にはたまたま出会ったイラストレーターの方に商品をパッケージデザインしていただいたこともあったそうです。現在、震災前はライバルだった商店同士が協力し合い、新商品を共同開発したりしました。その商品は「しゃきしゃきわかめ」。塩竈の特産でもあるワカメや昆布の品種改良を今後も継続していきたいということです。
 震災をばねに、仲間と絆を深めて「しおがま千賀の浦市場」で塩竈市を盛り上げていきたいと考えています。