Archive for 2018年7月30日

7月30日(月)放送

気仙沼市歯科医師 菅原恭 さん
佐々木淳吾アナウンサー リポート

菅原歯科医院 副院長の菅原恭さんは、法医歯科協力医で、東日本大震災時の身元確認のため2011年の5月くらいから御遺体の歯形から身元確認作業に携わりました。法医歯科協力医とは、身元確認や死因究明のためご遺体の歯形から身元を割り出し、速やかに遺族に戻すために警察庁と連携して確認を行う仕事です。
気仙沼署では5人の歯科医が携わりましたが、遺体の損傷の激しさの中、極限の中、ご自身の限界を感じて辞退される歯科医師もいました。継続するのが困難であった程過酷な現場でした。また、ご遺体のカルテが見つからなかった方の照合は、できないという状況もありました。
命を助けるのが「医師」、ご遺体の尊厳を守るのが「歯科医師」という過酷な現場で、強い意志をもって身元確認につとめた菅原恭 さんをはじめとした医師の方々がいらっしゃったことに感謝し、また将来起こりうる大地震など災害に関し、法医歯科協力医が重要な役割であることを知ってほしいと思います。


全国地震動予測地図 今村文彦教授
根本宜彦アナウンサー 取材リポート

今後30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率などを色で示した「全国地震動予測図」の最新版が先月公表されました。この地図の見方や最新版の特徴、活用の仕方などについて東北大学災害科学国際研究所所長の今村教授にお伺いしました。

・地図の見方
全国の活断層や海溝型をすべて足し合わせたのが「全国地震動予測図」です。計算方法は断層の代表的な数値を入れてそれによって震度を算出し、そして地震の発生の確立評価を組み合わせてできました。ある特定の震源断層において地震が発生した時に、どのくらいの人口が揺れにさらされるかの人口分布を示すものもあります。

・特徴
千島海溝沿いの地震、四国地域の活断層、九州地域の活断層の一部が評価結果に取り入れられたのが、2018年度版の新たな長期評価結果です。

・活用の仕方
日本地図にある色分けを確認しましょう。黄色~オレンジ~濃い赤になるにつれて地震の発生、数値の大きい部分と少ない部分で評価されています。
宮城県では40年に1度くらいの頻度で大地震が起きています。長町・利府断層は首都圏よりは数値は低い評価となっています。しかし、地震がいつ起きるかはわからない、可能性が「ゼロ」ではないため、大小というよりも、以前よりも地震発生の可能性が低くなった「確率」を確認するためにも、一度この
「全国地震動予測図」に実際に触れてみて、それぞれ確認していくことが重要です。

7月9日(月)放送

東松島市 写真で伝える被災地 中村綾杜さん
藤沢智子アナウンサー取材リポート

震災当時、小学校5年生だった中村さん。活動は東松島市野蒜を中心に、震災時から被災地の写真を撮り続け、高校生になってから「写真で伝える被災地」を本格的に立ち上げました。高校を3月に卒業した中村さんは介護の仕事をしながら、今も「写真で伝える被災地」を継続して行っています。
今月には、社会人になってからはじめて東松島市野蒜市民センターでイベントを行います。今まで取り続けた写真の掲載や、あの日の現状を詳しく話すトークイベントなど、盛りだくさんです。

■写真で伝える被災地
日時
平成30年7月15日(日)午前10時~午後5時
場所
東松島市野蒜市民センター会議室2.3
内容
写真展示、パノラマ写真展示、おちゃのみコーナー、震災関連コーナー、非常食・段ボールベット展示、体験コーナー

また、今後の活動への支援・ご協力していただける方も募集中です。東日本大震災を記憶し継承していくのは、おそらく中村さんの年代が最後かと思います。継承していくために話せる世代がいない時代が間もなくやってくるかもしれません。活動にご賛同いただける方には、下記ホームページよりご支援いただければと思います。https://syasinndetutaeruhi.wixsite.com/syashin-hisa…/blank-4

山元町 バーCOZY 向井康治さん
伊藤晋平アナウンサー取材リポート

埼玉県で造園業を営む向井康治さんが月に4回だけ開いていた、山元町花釜地区の一軒家「バーCozy」をご存知ですか?
現在はバー併設のシェアハウス「CozyHouse」としてありますが(1月オープン)、以前は、ノンアルコールのカクテルなどを作り地元の方々が集まる憩いの場として存在していました。そこから、向井さんと地元の方とで飲み物を通したコミュニケーションが始まり、今も山元町の様々な出会いの場となっています。
週末に、埼玉から宮城県に車でやってきて、バーはもちろん田んぼの生き物調査や様々な活動に参加している向井さん。震災前、全くゆかりのなかった場所、山元町に今も通い続けているのはなぜでしょう。その原動力は、山元町のみなさんと地元埼玉の友人以上に濃厚な時間を過ごし、深い関係ができあがっていることだと話してくださいました。「人生の中でもらったものを返す」、そんな気持ちが向井さんを駆り立てています。
「バーCozy」は、月に4回、週末の金・土曜日に開店しています。時間は夕方6時から10時ころまでですので、興味がある方はぜひお立ち寄りください。

バーCozy

https://www.facebook.com/コージーハウス-974718889353215/

7月2日(月)放送

仙台市防災運動会 今村文彦教授
後藤 舜アナウンサー取材リポート

先月23日にを宮城教育大付属特別支援学校で行われた防災運動会(みやぎ防災・減災円卓会議主催)は、防災意識を高め、防災啓発の強化を目指した取り組みです。災害発生時に役立つ競技が数多くあり、競技のなかには新潟県中越地震で4人が亡くなったことを教訓に生まれた「ぐるぐる体操」(エコノミー症候群を予防する体操)や「減災○×クイズ」、「災害時借り物競走」、そして車いす利用者との避難を体験する「車いす避難リレー」などのメニューがありました。参加者は体を動かしながら防災を学ぶ、また災害時に何が必要か考えながら行動するなどで、「瞬時の判断」の大事さを再度確認したようです。
東北大災害科学国際研究所の今村文彦所長(円卓会議世話人)は、「焦らず落ち着いて行動をすることの大切さ、体の不自由な方への配慮・声がけなどを競技から学ぶ、理解を深めてほしい」とあいさつしました。また「防災運動会は楽しく学べる機会で、小学校3年生から高齢者まで幅広く、体を動かしながら学ぶことができ、町内会などで取り入れ継続することが必要」だとも話してくれました。

菖蒲田浜YARN ALIVE テディ・サーカさん
林 朝子アナウンサー取材リポート

テディさんは40年前に宣教師の夫と当時1歳だった息子さんとアメリカから来日、その後七ヶ浜の魅力に惹かれ、11年前に引っ越ししてきました。「YARN ALIVE」は「毛糸で生き生き」という意味を持ちます。編み物教室を通して被災した人々のコミュニティつくりを、と2週に1度編み物教室を現在も続けています。
震災時、自宅は被災を免れたものの、電気も水も通らない中降った雪を水にして利用し、生活を続けてきました。阪神淡路大震災の時に、高齢のおばあちゃんたちが何人も自殺したことを聴き、祖国へ戻らずに七ヶ浜で大好きな得意な編み物でみんなと親交を深めました。
「誰かのために、の心がみんなを支えていた」と振り返るテディさん。2015年には仮設住宅をでてバラバラになった人々が集まれるようにと「YARN ALIVE」を建設しました。この建物・活動は世界中の人たちの力を借りて成り立ち、今も継続しています。
七ヶ浜のおばあちゃんたちと作ったブランケットは、海外、例えばシリア難民の方々に贈ったこともありました。「これからも誰かのために」この活動は今後も続いていきます。