Archive for 2020年12月21日

12月21日(月)放送分

塩釜市
塩釜水産物仲卸市場
長南昭弘ディレクター 取材リポート

日本有数の生マグロの水揚げを誇る塩釜港ですが、隣接する「水産物仲卸市場」では年末年始に向けた準備が始まっていました。
「まるさ坂本商店」の坂本和正さんは、ここで全国各地から新鮮な魚介類を仕入れ、飲食店を中心に販売しています。東日本大震災前には、七ヶ浜町、塩釜市、気仙沼市で仲卸業を父親がやっていました。震災で塩釜市以外の店や水槽が被災したため、坂本和正さんは弟の光央さんとともに、塩釜水産物仲卸市場で再スタートを切りました。取引先の多くはお寿司屋さんなど高級魚を扱う方々で、納得してもらえる商品を届けるために一分一秒も無駄にはできません。
そんな仕事を支えているのが、仕事を一から教えてくれた父の幸雄さんと、妻の美恵子さんです。家族のサポートもあり、早朝から働く坂本さんの仕事があって、おいしい魚をいただけると思うと、改めて感謝しなければと思います。
震災を乗り越えて、「まるさ坂本商店」と「塩釜水産物仲卸市場」の盛り上げに奮闘する坂本さんですが、故郷である七ヶ浜町には防波堤ができ、元々家があったところには住めなくなってしまいました。いつか故郷に帰れれば、とお話ししてくださいましたが、景色が変わり「七ヶ浜が遠い」と言ったその言葉に、発生から10年を迎える震災の傷跡はまだまだ深いのだと感じました。

12月14日(月)放送分

丸森町 
不動尊公園キャンプ場 小野正名さん
後藤舜アナウンサー 取材リポート

1年を通して楽しむことができるキャンプ場として人気の、不動尊公園キャンプ場を取材しました。ここは去年10月に上陸した台風19号の影響で壊滅的な被害を受けました。
不動尊公園キャンプ場の所長の小野正名さんは、台風の2日後にキャンプ場を訪れ、被災直後の状況を目の当たりにしました。キャンプ場の至るところで台風の爪痕が大きく残っていたといいます。そんな状況の中でも、スタッフ総出でキャンプ場の復旧に取り組み、地味で体力的な作業を1ヶ月以上毎日続けました。
そんな小野さん方を救ったのが、ボランティアや常連のお客さんの存在でした。多くのボランティアの方々が作業を手伝い、応援の声もたくさんありました。
台風からおよそ2ヶ月後には第1キャンプ場のオープンに漕ぎ着けましたが、いつ起こるかわからない水害への恐怖は拭えないといいます。また、現在は新型コロナウイルスの影響もあり、ゴールデンウィークの売り上げは全くありませんでした。それでも、コロナ禍で注目を集めている「ソロキャンプ」に目をつけ、一人アウトドアを楽しむ場を提供しています。
小野さんは今月いっぱいでキャンプ場を離れてしまいます。14年半勤めた場所を離れるのは寂しいですが、これまでみんなと作り上げてきたキャンプ場を、町に根付いたキャンプ場として、これからも庶民に優しい場であってほしいとお話ししていました。

12月14日(月)放送分

七ヶ浜町 
絆ハウス 石木田裕子さん
古野真也アナウンサー 取材リポート

名古屋を拠点に活動するNPO団体 レスキューストックヤードが運営する、七ヶ浜町にある「絆ハウス」を取材しました。東日本大震災以降、支援を続けています。絆ハウスの石木田裕子さんは30年前に七ヶ浜町に移り住み、保育園や児童福祉施設など、子供たちに関係する仕事を行っていました。震災当時も多賀城市内で保育士をしていましたが、地域のために何かできることはないかと、七ヶ浜町の学童保育に戻ることを決めました。はじめは町内の子供たちは荒れていたため、子供たちとしっかり向き合うことを大切にしていたといいます。
2017年夏、石木田さんは絆ハウスのリニューアルオープンに合わせて、ハウスを管理するNPO団体の職員になりました。絆ハウスは、地域の子供たちが垣根なく自由に気軽に訪れることができる場所だからこそ、いろんな子供たちと出会うことができて楽しいと話していました。今ではすっかり町に定着した施設となっています。
絆ハウスは復興の証だと語る石木田さん。様々なつながりができる貴重な場として、多くの子供たちの憩いの場となっている絆ハウスを、これからも見守っていきたいと思います。